直流送電に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。…
電力 第11問
直流送電に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (1)系統連系のための直流送電では,交直変換所の設置が必要となる。
- (2)交流送電のような同期安定度の問題がないので,長距離送電に適している。
- (3)直流の高電圧大電流の遮断は,交流の場合より容易である。
- (4)直流は,変圧器で簡単に昇圧や降圧ができない。
- (5)交直変換器からは高調波が発生するので,フィルタ設置等の対策が必要である。
正答 (3)
正答は (3)。
【誤りの選択肢 (3)】
「直流の高電圧大電流の遮断は、交流の場合より容易である」が誤りです。実際には、直流のほうがはるかに難しくなります。交流では、電流が1周期に2回ゼロになる瞬間(電流零点)があり、遮断器はその瞬間をねらってアークを消すことができます。50Hz なら100分の1秒ごとに必ず好機が訪れるわけです。ところが直流には電流零点がありません。アークが自然に消える機会がないので、強制的に電流をゼロにする仕組みを別に用意しなければならず、遮断器の構造は複雑で大がかりになります。これが直流送電で多端子化や事故区間の切離しが難しいとされる理由の一つです。
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【正しい選択肢の確認】
(1) 直流送電では、送電端で交流を直流に変える順変換器、
受電端で直流を交流に戻す逆変換器が必要で、これらを収める交直変換所を設けます。正しい記述です。
(2) 交流の長距離送電では、両端の同期発電機の相差角が大きくなり、
安定度の限界から送れる電力に制約が生じます。直流にはそもそも位相という概念がないので、同期安定度の問題がなく、長距離送電に適しています。また、周波数の異なる系統どうしを結ぶこともできます。正しい記述です。
(4) 変圧器は電磁誘導によって電圧を変える機器なので、
磁束が変化しない直流には働きません。直流の電圧を変えるには、いったん交流に戻すか、半導体を使った変換回路が必要になります。正しい記述です。
(5) 交直変換器は半導体素子を切り換えて動作するため、
電流波形が階段状になり、高調波を多く発生します。そのまま系統へ流すと波形をひずませ、機器に悪影響を及ぼすので、交流側にフィルタを設けて吸収します。また、変換器は運転にあたって遅れ無効電力を消費するため、調相設備も必要になります。正しい記述です。
【直流送電の長所と短所のまとめ】
長所は、安定度の制約がないこと、ケーブルでも充電電流が流れないこと、異周波数系統の連系ができること、線路の導体が2条(あるいは1条と大地帰路)で済むことです。短所は、交直変換所の費用がかかること、高調波と無効電力の対策が必要なこと、そして本問で問われた遮断の難しさです。
出典:令和5年度下期第三種電気主任技術者 電力科目 問11(一般財団法人 電気技術者試験センター 公表)出典元ページ
最終更新日
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