ガンマ線の生体への作用に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。…
ガンマ線の生体に与える影響に関する知識 第31問
ガンマ線の生体への作用に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- (1)ガンマ線による間接作用では、二次電子が生体高分子の電離又は励起を引き起こし、生体高分子に損傷を与える。
- (2)生体中にシステインなどのSH化合物が存在すると、ガンマ線の生体への作用が軽減される。
- (3)生体内に存在する酸素の分圧が高くなると、ガンマ線の生体への作用が増強される。
- (4)一般に、温度が上昇するとガンマ線の生体への作用は大きくなり、これを温度効果という。
- (5)ガンマ線は低LET放射線に分類され、高LET放射線のアルファ線と比べ、吸収線量が同じでも、等価線量は低い値となる。
正答 (1)
正答は (1)。これが誤りです。
間接作用は、放射線が水分子を電離・励起してできたラジカルが、生体高分子に作用して傷をつける現象です。「二次電子が生体高分子を電離し、分解する」のは直接作用のほうです。
【二つの作用】
直接作用 放射線が、DNAなど生体高分子を直接電離する
間接作用 放射線が水分子を電離 → ラジカルができる
→ ラジカルが生体高分子に作用する
水を介するかどうかが違いです。(1)は「水分子を介さずに生体高分子を壊す」と述べているので、直接作用の説明です。
解説の続きをみる続きを閉じる
【ほかの選択肢】
(2) 正しい。システインなどのSH化合物は、水からできたラジカルを捕まえて間接作用を弱める(放射線防護剤)。作用は軽減される
(3) 正しい。酸素の分圧が高いほど作用が強まる(酸素効果)
(4) 正しい。温度が上がると作用が大きくなり、下がると小さくなる(温度効果)
(5) 正しい。放射線加重係数はガンマ線が1、アルファ線が20。吸収線量が同じなら、等価線量(吸収線量×放射線加重係数)はガンマ線のほうが低い
【体は水でできている】
人体の約60~70%が水
だから、通常は間接作用のほうが主になります。
【酸素効果】
酸素があると、ラジカルが安定な過酸化物になり、傷が固定される
放射線治療で、酸素の乏しいがん細胞が効きにくいのはこのためです。
【温度効果と希釈効果】
温度が低い → ラジカルが動きにくい → 影響が小さい
溶質が薄い → ラジカルに出会う確率が、一分子あたりで上がる
希釈効果は割合の話です。壊される分子の数ではなく、全体に対する割合が増えます。
【防護剤】
ラジカルを捕まえる物質(含硫化合物など)を加えると影響が減る
間接作用だからこそ、途中で邪魔ができるのです。
出典:ガンマ線透過写真撮影作業主任者 2023年上半期実施分(2023年10月掲載/公益財団法人 安全衛生技術試験協会 公表試験問題)出典元ページ
この問題と解説は当サイトの責任で掲載しています。内容について、安全衛生技術試験協会へのお問い合わせはできません。
最終更新日
「ガンマ線の生体に与える影響に関する知識」のほかの問題
- 2025年上半期(2025年10月公表) 第31問細胞の放射線感受性に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 2025年上半期(2025年10月公表) 第39問次のAからDの放射線による身体的影響について、その発症にしきい線量が存在するものの全ての
- 2025年下半期(2026年4月公表) 第37問放射線による身体的影響に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 2023年下半期(2024年4月公表) 第35問ヒトが一時に全身に放射線を被ばくした場合の早期影響に関する次の記述のうち、正しいものはど
- 2024年上半期(2024年10月公表) 第33問組織・器官について、その放射線感受性の高い順に並べたものは、次のうちどれか。
- 2024年下半期(2025年4月公表) 第31問細胞の放射線感受性に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
スポンサーリンク

