53 歳の男性。10 日前からの発熱を主訴に来院した。海外渡航歴はない。意識は清明。体温38.4 ℃。脈拍96/分、整。…
D問題 第67問
53 歳の男性。10 日前からの発熱を主訴に来院した。海外渡航歴はない。意識は清明。体温38.4 ℃。脈拍96/分、整。血圧116/70 mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で圧痛を認めないが、右季肋部に叩打痛を認める。血液所見:赤血球468 万、Hb 13.9 g/dL、白血球21,900、血小板28 万。血液生化学所見:総ビリルビン1.2 mg/dL、AST 125 U/L、ALT 83 U/L、LD 338 U/L(基準124~222)、γ-GT 163 U/L(基準13~64)。CRP 29 mg/dL。腹部造影CT(別冊No. 26)を別に示す。超音波ガイド下に穿刺し、得られた液体は無臭でアンチョビペースト状であった。血液および穿刺液の培養で細菌は検出されなかった。この患者の感染経路を確認する上で重要な質問はどれか。
- (1)「覚醒剤を使ったことはありますか」
- (2)「キツネを触ったことはありますか」
- (3)「ダニに咬まれたことはありますか」
- (4)「同性間で性交渉をしたことはありますか」
- (5)「シカやイノシシなどの獣肉を食べたことはありますか」
正答 (4)
正答は (4)。「同性間で性交渉をしたことはありますか」です。
【図の見どころ】
腹部造影CTで、肝右葉に大きな低吸収の病変があり、内部は液体で、周りを造影される厚い壁が縁取っています(肝膿瘍)。
発熱、右季肋部の叩打痛、白血球・CRPの上昇、肝膿瘍があり、穿刺した液体が無臭のアンチョビペースト(チョコレート色)状で、細菌が育ちません。赤痢アメーバ〈Entamoeba histolytica〉によるアメーバ性肝膿瘍の典型的な所見です。赤痢アメーバは囊子を口から取り込んでうつります。海外渡航歴がないので、性的接触(特に男性間の性的接触で肛門と口が触れる行為)による感染を考え、性交渉歴を確かめます。HIVや梅毒など、ほかの性感染症の検査もあわせて行います。治療はメトロニダゾールです。
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【ほかの選択肢】
(1) 「覚醒剤を使ったことはありますか」 誤り
注射の回し打ちは、B型・C型肝炎やHIV、感染性心内膜炎などの原因になります
(2) 「キツネを触ったことはありますか」 誤り
キツネの糞の虫卵で多包条虫症(エキノコックス症)がうつり、肝臓に病変ができますが、ゆっくり進む多房性の囊胞性の病変です
(3) 「ダニに咬まれたことはありますか」 誤り
日本紅斑熱、つつが虫病、重症熱性血小板減少症候群〈SFTS〉などの原因です
(5) 「シカやイノシシなどの獣肉を食べたことはありますか」 誤り
E型肝炎や旋毛虫症などの原因です
出典:2025年(令和7年) 医師国家試験 問67(厚生労働省 公表)出典元ページ
最終更新日
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