感電及びその防止に関する記述として、適切なものは次のうちどれか。…
原動機及び電気に関する知識 第20問
感電及びその防止に関する記述として、適切なものは次のうちどれか。
- (1)感電による危険を電流と時間の積によって評価する場合、一般に、50アンペア秒が安全限界とされている。
- (2)人体は身体内部の電気抵抗が皮膚の電気抵抗よりも大きいため、電気によるやけどの影響は皮膚深部には及ばないが、皮膚表面は極めて大きな傷害を受ける。
- (3)移動式クレーンのジブが電路に接触した場合であっても、運転席に乗っている運転士は、運転席から離れない限り身体には電気が流れないので感電しないが、ジブが電路に接触した状態で移動式クレーンを離れなければならないときは、機体からの放電による感電を防ぐため、機体から身体が離れないよう慎重に地上に降りなければならない。
- (4)市街地の電柱上に設けられた6600Vの高圧架空配電線の直近で移動式クレーンを用いた作業を行う場合であっても、移動式クレーンのジブが電線に直接接触するおそれの少ない作業方法であれば、電線防護管を設ける必要はない。
- (5)送電線に近接した場所で移動式クレーンを用いて作業を行う場合の感電災害防止対策には、柵を設ける、ポールを立てるなどにより危険範囲を明示した上で、監視員を配置し、その者の監視下で作業する方法がある。
正答 (5)
正答は (5)。これだけが正しい記述です。
柵やポールで危険範囲を目に見える形にし、監視員を置いてその監視下で作業する。これは送電線に近接した場所での感電災害防止対策として認められている方法です。
他の選択肢が誤りである理由は次のとおりです。
【(1) 誤り】感電の危険の目安は、50ミリアンペアが1秒間流れること(50ミリアンペア秒)です。これで心室細動を起こすおそれがあるとされます。
アンペアとミリアンペアは1000倍違います。50アンペアといえば、一般家庭の契約容量に匹敵する電流です。そこまで流れれば1秒も持ちません。
解説の続きをみる続きを閉じる
【(2) 誤り】抵抗の大小が逆です。皮膚の電気抵抗のほうが、身体内部の抵抗より大きいのが正しい向きです。
そして、電気によるやけどは皮膚深部にも及びます。電流が体内を通れば、そこでジュール熱が発生するからです。外から見える傷が小さくても、内部で広範囲に組織が壊れていることがあり、これが電撃傷の怖いところです。
「表面だけ」と書いてあれば誤りと判断できます。
【(3) 誤り】向きが逆です。機体から身体が離れないように降りるのは、もっとも危険な降り方です。
ジブが電路に触れている間、機体全体が高い電位になっています。運転席にいるうちは、身体も機体と同じ電位なので電流は流れません。危ないのは降りる瞬間です。片手が機体に触れたまま足が地面に着くと、機体から身体を通って地面へ電気が流れます。
機体と地面に同時に触れないよう、飛び降りるのが正解です。
【(4) 誤り】6600Vの高圧架空配電線の直近で作業するなら、接触のおそれが少ない作業方法であっても、電線防護管が必要です。
高圧では、接触しなくても接近しただけで放電が起こりえます。また、作業中に風でジブが振られたり、操作を誤ったりする可能性は消せません。「おそれが少ない」という主観的な判断で防護を省いてよい、という理屈は通りません。
感電の要点
人体の電気抵抗
皮膚の抵抗のほうが、身体内部の抵抗より大きい。
問題文はこれを逆に書いてきます。
しかも電気によるやけどは皮膚深部にも及びます
危険の目安
50ミリアンペア秒(50mAが1秒)で心室細動のおそれ。
「50アンペア秒」「500ミリアンペア秒」「50Aの電流」はいずれも桁を動かした誤りです。
50Aも流れれば1秒どころではありません
影響の程度を左右するもの
電流の大きさ、通電時間、電流の種類、通電経路、体質など
離隔距離(昭和50年 基発第759号)
低圧 … 1m以上
高圧 … 1.2m以上
特別高圧 … 2m以上
「10cm以上」では話になりません。
特別高圧は、触れていなくても空気を通して放電します
防護管
高圧架空配電線の直近で作業するなら、接触のおそれが少なくても電線防護管が要ります。「必要はない」は誤り
ジブが電路に触れたら
運転席にいる限りは感電しない(機体と一緒に高い電位にあるため)。
危ないのは降りる瞬間。身体が機体と地面に同時に触れると、そこが電気の通り道になります。
だから「機体から離れないよう慎重に降りる」のは最悪の対応です
感電防止の対策として正しいのは、柵やポールで危険範囲を明示し、監視員の監視下で作業する方法です。
出典:感電災害の防止に関する一般的な知識、昭和50年12月17日 基発第759号
出典:移動式クレーン運転士 2023年下半期実施分(2024年4月掲載/公益財団法人 安全衛生技術試験協会 公表試験問題)出典元ページ
この問題と解説は当サイトの責任で掲載しています。内容について、安全衛生技術試験協会へのお問い合わせはできません。
最終更新日
「原動機及び電気に関する知識」のほかの問題
- 2024年上半期(2024年10月公表) 第20問感電及びその防止に関するAからDまでの記述について、適切でないもののみを全て挙げた組合せ
- 2024年下半期(2025年4月公表) 第18問移動式クレーンの油圧装置の作動油タンクから試料として作動油を採取し、この試料の作動油と、
- 2025年上半期(2025年10月公表) 第16問移動式クレーンの油圧装置の付属機器及び配管類に関する記述として、適切でないものは次のうち
- 2025年下半期(2026年4月公表) 第14問移動式クレーンの油圧駆動装置に関する記述として、適切でないものは次のうちどれか。
- 2023年上半期(2023年10月公表) 第12問移動式クレーンのディーゼルエンジンに取り付けられる補機、装置などに関する記述として、適切
- 2023年上半期(2023年10月公表) 第20問感電及びその防止に関する記述として、適切でないものは次のうちどれか。
スポンサーリンク

