次の記述は、関税法第7条第3項の規定に基づく輸入貨物の関税率表の適用上の所属区分に係る照会(以下「事前照会」という。)に…
通関実務 通関実務 第4問
次の記述は、関税法第7条第3項の規定に基づく輸入貨物の関税率表の適用上の所属区分に係る照会(以下「事前照会」という。)に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。
- (1)文書による事前照会は、輸入しようとする貨物の輸出者は行うことができないこととされており、口頭又はインターネットによる事前照会についても、同様とされている。
- (2)文書による事前照会の照会者が、その事前照会に係る貨物について関税率表の適用上の所属区分に関する不服申立て中である場合には、当該貨物は事前照会に対する回答の対象としないこととされている。
- (3)事前照会に対する回答書のうち、その回答書の発出日(再交付し、又は再送達したものにあっては、その当初の回答書の発出日)から3年を経過したものは、輸入(納税)申告書の審査上、尊重しないものとされている。
- (4)照会者が口頭による回答を求める場合には、その事前照会が輸入申告中の貨物に係るものである場合であっても、事前照会に対する回答の対象とすることとされている。
- (5)照会者がインターネットによる事前照会を文書による事前照会に準じた取扱いに切り替えることを希望する場合には、その旨を任意の様式に記載し、それを電磁的記録として添付した電子メールを、税関の事前照会用電子メールアドレスに送信することにより行うものとされている。
正答 (2)(3)
正答は、(2)、(3) の二つです。
【事前照会の仕組み】
関税法第7条第3項は、税関は納税義務者その他の関係者から輸入貨物に係る関税率表の適用上の所属、税率、課税標準等の教示を求められたときは、その適切な教示に努めるものとすると定めています。これを受けた実際の運用は、文書による照会と文書による回答を原則とし、これによらず口頭で照会があった場合には口頭で回答し、インターネットによる照会があった場合には電子メールで回答するという三本立てになっています。文書による回答だけが輸入申告の際に尊重される取扱いを受け、また照会者が再検討を希望するときの意見の申出ができるのに対し、口頭や電子メールによる回答にはそのような効果がありません。この違いを押さえたうえで、照会できる者、回答の対象とならない照会、尊重される期間という三点を確かめていきます。
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【各選択肢の検討】
(1) 誤りです。文書による事前照会を行うことができる照会者は、輸入しようとする貨物の輸入者又は輸出者、当該貨物の製法や性状等を把握している利害関係者、及びこれらの代理人とされています。輸出者が除かれているという前提自体が成り立ちません。口頭による照会やインターネットによる照会についても、照会者の範囲は同じで、輸出者は照会を行うことができます。貨物の製法や性状を最もよく知っているのは輸出者や生産者ですから、これらの者を照会者から外す理由がないわけです。
(2) 正しい記述です。文書による事前照会のうち手続の対象となる照会の範囲は、架空の貨物でなく具体的な貨物に係る照会であること、必要な照会書及び資料が提出されることのほか、照会の内容が一定の性質を有しないことが要件とされており、その一つとして、照会者及びその利害関係者が、照会に係る貨物について不服申立て又は訴訟中である等、関税率表の適用上の所属区分に係る紛争等が生じているものが挙げられています。既に争いの土俵に乗っている事案について、事前教示という別の手続で税関の見解を重ねて示すことは、争訟手続との関係で適当でないからです。
(3) 正しい記述です。輸入(納税)申告書に回答書が添付されている場合、税関はその申告書の審査上、回答書に記載された関税率表の適用上の所属区分、関税率及び統計品目番号を尊重することとされていますが、一定のものは尊重しないこととされています。その一つが、その発出日(再交付し、又は再送達したものにあっては、その当初の回答書の発出日)から3年を経過した回答書です。再交付や再送達によって期間が延びることがないように、起算点を当初の回答書の発出日に固定している点まで含めて正確な記述です。分類の考え方や関連する通達は時の経過とともに変わり得ますから、尊重される期間に区切りを設けているわけです。
(4) 誤りです。口頭による回答を求める場合の対象となる照会の範囲についても、文書による場合と同様に一定の除外が置かれており、不服申立て又は訴訟中である等の紛争等が生じているもの、貨物を的確に把握して適切な回答を行うために文書による事前教示を行わせることが相当と判断されるもののほか、輸入申告中の貨物についての照会である場合等、事前教示の趣旨に反するものは対象としないこととされています。事前教示は輸入申告の前にあらかじめ取扱いを確かめておくための制度ですから、既に申告が行われている貨物について教示を求めるのは制度の趣旨に反します。「輸入申告中の貨物に係るものである場合であっても対象とする」とする本肢は、この除外を正面から否定しており誤りです。
(5) 誤りです。インターネットによる事前照会を文書による照会に準じた取扱いに切り替えることを希望する場合には、「インターネットによる事前教示に関する照会書」という定められた様式に必要事項を記載し、これを電磁的記録とした電子メールを税関の事前照会用電子メールアドレスに送信して行うこととされています。電子メールを事前照会用電子メールアドレスに送るという部分は正しいのですが、「その旨を任意の様式に記載し」としている点が誤りです。切替えを行うと、その後は文書による照会に係る手続に従って処理され、回答書が交付又は送達されて輸入申告の際に尊重される効果が生じますから、文書による照会と同等の記載事項が整っていることを様式によって担保する必要があるわけです。
【回答の形式ごとの効果】
文書による回答 輸入申告の際に尊重される。意見の申出ができる。発出日から3年を経過すると尊重されない。
口頭による回答 尊重されない。意見の申出もできない。
電子メールによる回答 尊重されない。意見の申出もできない。切替えを希望すれば文書による取扱いに移行できる。
どの形式でも照会できる者の範囲は同じであり、輸入申告中の貨物や紛争中の貨物が対象外である点も共通しています。形式によって変わるのは効果であって、入口の範囲ではないと整理しておくと、この分野は安定します。
出典:第59回 通関士試験 通関実務 第4問(財務省 税関 公表)出典元ページ
最終更新日
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