エックス線の測定に用いるNaI(Tl)シンチレーション検出器に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。…
エックス線の測定に関する知識 第23問
エックス線の測定に用いるNaI(Tl)シンチレーション検出器に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- (1)シンチレータに混入される微量のタリウムは、発光波長の調整や発光量増加の役割を果たす活性剤である。
- (2)シンチレータにエックス線が入射すると、紫外領域の減衰時間の長い光が放射される。
- (3)シンチレータから放射された光は、光電子増倍管の光電面で光電子に変換され、増倍された後、電流パルスとして出力される。
- (4)光電子増倍管から得られる出力パルス波高には、入射エックス線のエネルギーの情報が含まれている。
- (5)光電子増倍管の増倍率は、印加電圧に依存するので、光電子増倍管に印加する高圧電源は安定化する必要がある。
正答 (2)
正答は (2)。これが誤りです。
NaI(Tl)シンチレータにエックス線が入射すると、可視領域の減衰時間の短い光が放射されます。「紫外領域の減衰時間の長い光」は誤りです。
【NaI(Tl)の発光】
波長 約410nm(青色の可視光)
減衰時間 約230ns(短い)
【なぜ可視光でなければならないか】
発した光を、光電子増倍管の光電面で受ける
光電面は、可視光に感度をもつように作られています。紫外線では、途中のガラス窓に吸収されてしまいます。受け手に合わせた光でなければ、検出器として成り立ちません。
解説の続きをみる続きを閉じる
【なぜ減衰時間が短いほうがよいか】
光が長く尾を引くと、次の放射線と区別がつかない
一つ一つの入射を数えるのですから、すばやく光り、すばやく消える必要があります。NaI(Tl)は、この点で優れています。
【ほかの選択肢】
(1) シンチレータに混入される微量のタリウムは、発光波長の
調整や発光量増加の役割を果たす活性剤 正しい
(3) シンチレータから放射された光は、光電子増倍管の光電面で
光電子に変換され、増倍された後、電流パルスとして
出力される 正しい
(4) 出力パルス波高には、入射エックス線のエネルギーの情報が
含まれている 正しい
(5) 光電子増倍管の増倍率は印加電圧に依存するので、高圧電源は
安定化する必要がある 正しい
【(Tl)の意味】
NaI にタリウムを微量加えたもの
純粋なヨウ化ナトリウムでは、うまく光りません。不純物をわざと混ぜることで、光電面に合う波長で、強く光るようになります。この添加物を活性剤といいます。
【エネルギー情報が得られるわけ】
入射エックス線のエネルギーが高い
→ シンチレータで多くの光が出る
→ 光電子も多い → パルスの波高が高い
だから波高を測ればエネルギーが分かります。エネルギー分析ができる検出器です。
【電源を安定化するわけ】
印加電圧が揺れる → 増倍率が揺れる → 波高が揺れる
エネルギーの情報が乱れてしまいます。
出典:エックス線作業主任者 2025年下半期実施分(2026年4月掲載/公益財団法人 安全衛生技術試験協会 公表試験問題)出典元ページ
この問題と解説は当サイトの責任で掲載しています。内容について、安全衛生技術試験協会へのお問い合わせはできません。
最終更新日
「エックス線の測定に関する知識」のほかの問題
- 2024年上半期(2024年10月公表) 第23問被ばく線量測定に用いる放射線測定器とこれに関係の深い用語との組合せとして、誤っているもの
- 2024年下半期(2025年4月公表) 第21問放射線の量とその単位に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 2024年下半期(2025年4月公表) 第29問ある放射線測定器を用いてt秒間放射線を測定し、計数値Nを得たとき、計数率の標準偏差(cp
- 2025年上半期(2025年10月公表) 第28問放射線の測定などについての用語に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 2023年上半期(2023年10月公表) 第26問サーベイメータに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 2023年下半期(2024年4月公表) 第24問サーベイメータに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
スポンサーリンク

