54 歳女性。体重60 kg。腋窩リンパ節転移が著明な進行性乳がんと診断され、トラスツズマブを含む化学療法を継続していた…
薬学実践問題(薬剤) 第283問
54 歳女性。体重60 kg。腋窩リンパ節転移が著明な進行性乳がんと診断され、トラスツズマブを含む化学療法を継続していた。最近の画像検査にて肝転移を認めたため、以下の化学療法を施行することとなった。薬品名 投与経路 投与時間①生理食塩液50 mL 点滴静注 5 分②トラスツズマブ エムタンシン(注)3.6 mg/kg + 生理食塩液250 mL 点滴静注 90 分③生理食塩液50 mL 点滴静注 5 分1 クールの日数:21 日(注) トラスツズマブに抗がん薬DM1 が結合した構造を有する薬剤で、白色の塊である。トラスツズマブ エムタンシン製剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- (1)有効成分は、分子標的薬である核酸医薬と抗がん薬DM1 が結合した核酸薬物複合体である。
- (2)有効成分は、ヒト上皮増殖因子と抗がん薬DM1 が結合したタンパク質薬物複合体である。
- (3)有効成分は、点滴静注後、ヒト上皮増殖因子受容体2 型(HER2)を標的として抗がん薬DM1 を能動的にターゲティングする。
- (4)有効成分が細胞内に取り込まれた後、リソソーム内で抗がん薬DM1 を遊離する。
- (5)有効成分が細胞膜上の受容体に結合した後、遊離した抗がん薬DM1 が細胞膜に傷害を引き起こす。
正答 (3)(4)
正答は (3)と(4)。抗 HER2 抗体のトラスツズマブが DM1 を HER2 陽性のがん細胞へ運び、細胞内のリソソームで DM1 が遊離します。
トラスツズマブ エムタンシンは、トラスツズマブに微小管阻害薬の DM1 をリンカーで結合させた抗体薬物複合体です。HER2 に結合すると細胞内に取り込まれ、リソソームで抗体が分解されて DM1 を含む代謝物が遊離し、微小管の重合を阻害して細胞を殺します。抗体の結合を利用して薬を標的に届けるので、能動的ターゲティングに当たります。
【ほかの選択肢】
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(1) 核酸医薬ではなく、抗体(たんぱく質)と DM1 の複合体 誤り
(2) 結合しているのはヒト上皮増殖因子ではなく、HER2 に対する抗体 誤り
(5) DM1 は細胞内で微小管を阻害する。細胞膜を傷つけるのではない 誤り
出典:第107回 薬剤師国家試験 問283(厚生労働省 公表)出典元ページ
最終更新日
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