ビュールマンのZH-L16モデルに基づく減圧方法などに関し、誤っているものは次のうちどれか。…
送気、潜降及び浮上 第16問
ビュールマンのZH-L16モデルに基づく減圧方法などに関し、誤っているものは次のうちどれか。
- (1)半飽和組織における不活性ガス分圧の計算式は、具体的には「生体内外の不活性ガスの移動は不活性ガスの分圧の差が大きいほど速やかで、かつ時間の経過に比例して行われる。」ということを意味している。
- (2)M値とは、ある環境圧力に対して、労働者の身体が許容できる各半飽和組織ごとの最大の不活性ガス分圧である。
- (3)純酸素を呼吸用ガスに使用する場合、環境ガスの混入や呼気の流入の可能性もあるので、20%前後の不活性ガスを含んでいるものとして計算することが多い。
- (4)実際の不活性ガス分圧の計算では、大気圧を100kPa(絶対圧力)とせず、飽和水蒸気圧を勘案し、100から5.67を差し引いた94.33kPa(絶対圧力)とすることが望ましい。
- (5)潜水を開始した直後から海底に到達したとして減圧計算を行うと、体内に取り込まれるガス量が加圧速度を見込んだ場合よりも多く算出されるので、より安全な減圧スケジュールが導かれる。
正答 (1)
正答は (1)。これが誤りです。
不活性ガスの出入りは「時間の経過に比例して」行われるのではありません。指数関数的に進みます。
分圧の差が大きいほど移動が速いのはそのとおりです。しかし移動が進むと差そのものが縮まるので、移動の速さもどんどん落ちていきます。一定の速さで進むわけではないため、時間に比例しません。
この性質があるからこそ、半飽和時間という考え方が使われます。1回分の半飽和時間で差の50%、2回分で75%、3回分で87.5%と、残りの半分ずつが埋まっていく形です。比例であればこんな指標は必要ありません。
(2)〜(5)はいずれも正しい記述です。
(4) 飽和水蒸気圧5.67kPaを差し引くのは、肺の中の空気が水蒸気で飽和しており、その分だけ不活性ガスの分圧が下がるためです
(5) 潜降にかかる時間を無視して「最初から海底にいた」として計算すると、実際より多くガスを取り込んだことになります。多めに見積もるほうが安全側なので、これで構いません
出典:ビュールマン ZH-L16 モデルの標準的な考え方
潜水士 2023年上半期実施分(2023年10月掲載/公益財団法人 安全衛生技術試験協会 公表試験問題)

