潜水によって生じる空気塞栓症に関し、誤っているものは次のうちどれか。…
高気圧障害 第26問
潜水によって生じる空気塞栓症に関し、誤っているものは次のうちどれか。
- (1)空気塞栓症は、肺胞の毛細血管に侵入した空気が、動脈系の末梢血管を閉しょう塞することにより起こる。
- (2)空気塞栓症は、心臓においてはほとんど認められず、ほぼ全てが脳において発症する。
- (3)空気塞栓症は、一般的には浮上してすぐに意識障害、痙攣発作などの重篤けいれんな症状を示す。
- (4)空気塞栓症のリスクを評価する指標としてUPTD(肺酸素毒性量単位)があり、1日の高圧空気へのばく露量が一定の値以下となるように管理する。
- (5)空気塞栓症を予防するには、浮上速度を守り、常に呼吸を続けながら浮上する。
正答 (4)
正答は (4)。これが誤りです。指標を取り違えています。
UPTD(肺酸素毒性量単位)は酸素中毒の管理に使う指標であって、空気塞栓症のリスクを評価するものではありません。
UPTDは、どれだけの酸素分圧にどれだけの時間さらされたかを積算して、肺への酸素毒性を見積もるものです。高分圧の酸素を長く吸うほど値が大きくなります。
一方、空気塞栓症は肺の過膨張という物理的な損傷で起こります。酸素のばく露量とは関係がなく、浮上の仕方の問題です。原因がまったく違うので、同じ指標では測れません。
(1)(2)(3)(5)はいずれも正しい記述です。(2)の「ほぼ全てが脳において発症する」という点も重要で、肺から動脈血に入った空気は上へ向かう脳の血管に入りやすいためです。
空気塞栓症
原因 急浮上などによる肺の過膨張。息を止めたまま浮上すると起きやすい
機序 破れた肺胞から毛細血管に空気が入り、動脈系の末梢血管を閉塞する
好発部位 ほぼすべてが「脳」。心臓ではない。
肺から出た空気は動脈血に乗り、上へ向かう脳の血管へ入りやすい
症状 一般に浮上してすぐ、意識障害や痙攣発作などの重篤な症状が出る
予防 浮上速度を守り、常に呼吸を続けながら浮上する
なお UPTD(肺酸素毒性量単位)は酸素中毒の指標であって、
空気塞栓症の指標ではありません
出典:空気塞栓症に関する一般的な医学的知見
潜水士 2023年下半期実施分(2024年4月掲載/公益財団法人 安全衛生技術試験協会 公表試験問題)

