生体の組織をいくつかの半飽和組織に分類して不活性ガスの分圧の計算を行うビュールマンのZH-L16モデルにおけるM値及び不…
送気、潜降及び浮上 第16問
生体の組織をいくつかの半飽和組織に分類して不活性ガスの分圧の計算を行うビュールマンのZH-L16モデルにおけるM値及び不活性ガス分圧の計算に関し、誤っているものは次のうちどれか。
- (1)M値とは、ある環境圧力に対して、身体が許容できる各半飽和組織における最大の不活性ガス分圧の半分の分圧をいう。
- (2)M値は、半飽和時間が長い組織ほど小さく、潜水者が潜っている深度が深くなるほど大きい。
- (3)半飽和組織は、理論上の概念として考える組織(生体の構成要素)であり、特定の個々の組織を示すものではない。
- (4)減圧計算において、ある浮上停止深度で、不活性ガス分圧がM値を上回るときは、直前の浮上停止深度での浮上停止時間を増加させて、不活性ガス分圧がM値より小さくなるようにする。
- (5)繰り返し潜水において、作業終了後、次の作業まで水上で休息する時間を十分に設けなかった場合には、次の作業における減圧時間がより長くなる。
正答 (1)
正答は (1)。これが誤りです。
M値は「最大の不活性ガス分圧の半分」ではなく、最大の不活性ガス分圧そのものです。
M値とは、ある環境圧力に対して身体が許容できる、各半飽和組織ごとの最大の不活性ガス分圧をいいます。「半分」という限定は付きません。
「半分」という語は、半飽和時間(分圧差の半分まで満たされるのにかかる時間)のほうに出てきます。この設問は、その「半分」をM値の定義に紛れ込ませています。似た用語の一部を別の用語の定義に混ぜるのは、この試験でよく使われる手口です。
(2)は「半飽和時間が長い組織ほど小さく、深度が深くなるほど大きい」で、こちらが正しい向きです。(3)(4)(5)も正しい記述です。
ビュールマンのZH-L16モデルの要点
半飽和組織 生体を不活性ガスの取り込み速度で16に分けた理論上の区分。
特定の臓器を指すものではない。
半飽和時間 その組織が、環境との分圧差の「半分」まで満たされるのに
かかる時間。飽和までの時間の半分ではない。
短い組織=血流が豊富、長い組織=血流が乏しい。
ヘリウムは窒素より拡散が速いため、半飽和時間は窒素より短い。
M値 ある環境圧力に対して身体が許容できる、各半飽和組織ごとの
最大の不活性ガス分圧。
・半飽和時間が長い組織ほど M値は小さい
・深度が深い(環境圧力が高い)ほど M値は大きい
減圧の考え方 すべての半飽和組織の体内不活性ガス分圧が、対応するM値を
超えないように浮上停止の深度と時間を決める。
ある停止深度でM値を上回るなら、その手前の停止深度で
停止時間を延ばして体内分圧を下げておく。
出典:ビュールマン ZH-L16 モデルの標準的な考え方
潜水士 2024年下半期実施分(2025年4月掲載/公益財団法人 安全衛生技術試験協会 公表試験問題)

