呼吸及び肺換気機能に関し、誤っているものは次のうちどれか。…
高気圧障害 第21問
呼吸及び肺換気機能に関し、誤っているものは次のうちどれか。
- (1)呼吸運動は、主として肋間筋ろっ、横隔膜などの呼吸筋によって胸郭内容積を周期的に増減し、それに伴って肺を伸縮させることにより行われる。
- (2)肺呼吸は、肺内に吸い込んだ空気中の酸素を血液中に取り入れ、血液中の二酸化炭素を排出するガス交換である。
- (3)ガス交換は、肺胞及び呼吸細気管支で行われ、そこから口側の空間は、ガス交換には直接は関与していない。
- (4)潜水呼吸器を装着することにより、呼吸死腔くうを減少させることができる。
- (5)潜水中は、呼吸ガスの密度が高くなり呼吸抵抗が増すので、呼吸運動によって気道内を移動できる呼吸ガスの量は深度が増すに従って減少する。
正答 (4)
正答は (4)。これが誤りです。
潜水呼吸器を装着すると、呼吸死腔は減少するのではなく増加します。
死腔とは、吸った空気のうちガス交換に関与しない部分が入る空間のことです。口や鼻から気管支までの通り道がこれにあたります。
ここに残った空気は、次に吸うときにまず肺へ押し込まれます。つまり吐いたばかりの二酸化炭素の多い空気を、もう一度吸い直すことになります。死腔が大きいほどこの再呼吸の量が増えるので、酸素不足と二酸化炭素の蓄積が起こりやすくなります。
潜水呼吸器を装着すると、マウスピースやホースの分だけこの空間が増えます。つまり死腔は減るのではなく増えます。潜水中に二酸化炭素中毒が起こりやすいのは、この上乗せも一因です。
(5)とあわせて読むと、潜水中の呼吸がいかに不利な条件下にあるかが分かります。死腔が増えて二酸化炭素がたまりやすくなるうえ、呼吸ガスの密度が高くなって呼吸抵抗も増します。深いところで息苦しさを感じるのは、気のせいではなく物理的な理由があります。
(1)(2)(3)も正しい記述です。
肺と呼吸の要点
肺の動き 肺自体に膨らむ力はない。肋間筋や横隔膜などの呼吸筋が
胸郭を広げ、それに引かれて受動的に膨らむ
胸膜腔 肺の表面と胸郭内側を覆う胸膜の間の空間
気胸 胸膜腔に気体が入り、胸郭が広がっても肺が広がらない状態。
肺気腫とは別のもの(肺気腫は肺胞が壊れて広がる病気)
ガス交換 肺胞と呼吸細気管支でのみ行われる
外呼吸 肺胞内の空気と毛細血管の血液との間のガス交換
内呼吸 血液と体の各組織との間のガス交換
死腔 ガス交換に関与しない空間(口から気管支までの通り道)
潜水呼吸器を装着すると死腔は「増加」する。減少しない
死腔が「大きい」ほど酸素不足や二酸化炭素の蓄積が起こりやすい
二酸化炭素の濃度
通常の空気中 約0.04%
呼気中 約4% …「0.4%」は一桁小さい
潜水中の呼吸 深くなるほど呼吸ガスの密度が高くなり呼吸抵抗が増すため、
気道内を移動できるガスの量は減る
出典:呼吸生理に関する一般的な医学的知見
潜水士 2024年下半期実施分(2025年4月掲載/公益財団法人 安全衛生技術試験協会 公表試験問題)

