人体に及ぼす水温の作用及び体温に関し、誤っているものは次のうちどれか。…
高気圧障害 第24問
人体に及ぼす水温の作用及び体温に関し、誤っているものは次のうちどれか。
- (1)体温は、代謝によって生じる産熱と、人体と外部環境の温度差に基づく放熱のバランスによって一定に保たれる。
- (2)体温が低下し始めると、筋肉の緊張の増強、酸素摂取量の増加などの症状が現れる。
- (3)水中で体温が低下すると、震え、意識の混濁や消失などを起こし、死に至ることもある。
- (4)一般に、深部体温が35℃以下の状態を低体温症という。
- (5)重度の低体温症に陥った者への処置としては、できるだけ早く体温を回復させるため、温かいシャワーか風呂に入れるようにする。
正答 (5)
正答は (5)。これが誤りです。
重度の低体温症に陥った者を、温かいシャワーや風呂で急激に温めてはいけません。
重度の低体温症で急激に温めてはいけない理由は2つあります。
ひとつはアフタードロップと呼ばれる現象です。手足を急に温めるとそこの血管が広がり、冷え切った血液が一気に体の中心へ戻ります。その結果、心臓の温度がかえって下がり、心停止を招くことがあります。
もうひとつは循環虚脱です。冷えて収縮していた末梢の血管が急に広がると血圧が保てなくなり、ショック状態に陥ります。
重度の場合は、体幹を中心にゆっくり温め、医療機関へ搬送します。「早く温めたほうがよい」という直感が、そのまま危険につながる場面です。
(1)〜(4)はいずれも正しい記述です。(2)の「筋肉の緊張の増強、酸素摂取量の増加」は、体が熱を作ろうとして震えている段階の症状です。
水温と体温の要点
熱伝導率 水は空気の約25倍。10倍でも1,000倍でもない。
水中で体温が急速に奪われるのはこのため
体温の保持 代謝による産熱と、外部との温度差による放熱の釣り合いで保たれる
低体温症 一般に深部体温が35℃以下の状態。30℃以下ではない
初期の症状 筋肉の緊張の「増強」(震え)、酸素摂取量の「増加」
→ 体が熱を作ろうとして活動が高まる。弛緩・減少は誤り
進行すると 震え、意識の混濁・消失、死に至ることもある
処置
してよいこと 濡れた衣服を脱がせ、乾いた毛布や衣服で覆う
してはいけないこと
・重度の低体温症で温かいシャワーや風呂に入れること
・アルコールを摂取させること
出典:低体温症に関する一般的な医学的知見
潜水士 2025年上半期実施分(2025年10月掲載/公益財団法人 安全衛生技術試験協会 公表試験問題)

