気体の性質などに関し、誤っているものは次のうちどれか。…
潜水業務 第3問
気体の性質などに関し、誤っているものは次のうちどれか。
- (1)溶解度の小さい気体が、一定量の液体に溶ける場合、温度が一定であれば、気体が溶解する質量は、その気体の分圧に比例する。
- (2)異種の気体が薄い透過膜を境として接するときは、双方が平衡となるまで過剰な分圧の気体の拡散浸透が行われる。
- (3)窒素は、無色・無臭で、常温・常圧では化学的に安定した不活性の気体であるが、高圧下では麻酔作用がある。
- (4)一酸化炭素は、無色・無臭の気体で、呼吸によって体内に入ると、赤血球のヘモグロビンと結合し、酸素の組織への運搬を阻害する。
- (5)ヘリウムは、密度が極めて大きく、他の元素と化合しにくい気体で、呼吸抵抗は少ない。
正答 (5)
正答は (5)。これが誤りです。
ヘリウムの密度は極めて「小さい」気体です。水素に次いで2番目に軽い元素です。
軽いことには実用上の意味があります。密度が小さいほど呼吸するときの抵抗が小さくなるため、高圧下でも楽に呼吸できます。深海潜水で窒素の代わりにヘリウムを使う理由は2つあり、ひとつは麻酔作用がほとんどないこと、もうひとつがこの呼吸抵抗の小ささです。選択肢の後半「他の元素と化合しにくい」「呼吸抵抗は少ない」は正しく、密度の部分だけが誤っています。
(1)〜(4)はいずれも正しい記述です。(4)の一酸化炭素がヘモグロビンと結合する性質は、酸素の200倍以上という強さで結びつくため、わずかな濃度でも酸素の運搬を妨げます。
潜水で扱う気体の性質
酸素 無色・無臭。生命維持に不可欠だが、濃度が高ければ良いわけではない。
高分圧では酸素中毒を起こす。
分類は「支燃性(助燃性)」であって可燃性ではない。
自分は燃えず、他のものが燃えるのを助ける
窒素 無色・無臭。常温・常圧では化学的に安定した不活性ガス。
ただし高圧下では麻酔作用があり、窒素酔いを起こす
二酸化炭素 無色・無臭。空気中には約0.03〜0.04%。
「約0.3%」は一桁多い
一酸化炭素 無色・無臭の有毒ガス。不完全燃焼で生じる。
無臭なので気づけないことが最大の危険。
ヘモグロビンと強く結合して酸素の運搬を妨げる
ヘリウム 無色・無臭。密度が極めて「小さい」。
化学的に安定で麻酔作用がほとんどなく、呼吸抵抗も少ないため
深海潜水で窒素の代わりに使われる
空気の組成 窒素 約78%、酸素 約21%、二酸化炭素その他 約1%
【法則】
ヘンリーの法則 溶解度の小さい気体が一定量の液体に溶けるとき、
温度が一定なら溶ける質量はその気体の分圧に比例する
拡散 異種の気体が薄い透過膜を隔てて接すると、
分圧が平衡になるまで拡散浸透が進む
出典:潜水業務で扱う気体の一般的性質
潜水士 2025年下半期実施分(2026年4月掲載/公益財団法人 安全衛生技術試験協会 公表試験問題)

