潜水業務に用いるコンプレッサーに関し、誤っているものは次のうちどれか。…
送気、潜降及び浮上 第12問
潜水業務に用いるコンプレッサーに関し、誤っているものは次のうちどれか。
- (1)予備空気槽は、コンプレッサーの故障などの事故が発生した場合に備えて、必要な空気をあらかじめ蓄えておくためのものである。
- (2)コンプレッサーの機能・性能を保持するためには、原動機とコンプレッサーとの伝動部分をはじめ、冷却装置、圧縮部、潤滑油部などについて保守・点検を行う必要がある。
- (3)潜水作業船に設置する固定式のコンプレッサーの空気取入口は、機関室の外に設置する。
- (4)コンプレッサーの圧縮効率は、圧力の上昇に伴い増加する。
- (5)スクーバ式潜水のボンベの充塡に用いる高圧コンプレッサーの最高充塡圧力は、一般に約20MPaであるが約30MPaの機種もある。潜水 7/21
正答 (4)
正答は (4)。これが誤りです。
圧縮効率は圧力の上昇に伴って低下します。
圧縮効率が下がる理由は、往復式(レシプロ)圧縮機の構造にあります。
ピストンが上死点まで来ても、シリンダー頂部にはわずかな隙間(すきま容積)が残ります。ここに 高圧の空気が残ったまま吸入行程に移ると、その空気がまず膨張してしまい、その分だけ新しい外気を吸い込めません。吐出圧が高いほど残留空気の膨張量は大きくなるので、実際に押し出せる空気の割合は減っていきます。
加えて、圧力が高いほど圧縮による温度上昇が大きくなり、弁やピストンリングからの漏れも増えます。これらも効率を下げる方向に働きます。
「高い圧力をかけるほど効率よく空気を送れる」というのは直感に反しないようでいて、実際は逆です。ここが繰り返し問われています。
(3)について補足します。固定式コンプレッサーの空気取入口を機関室の外に置くのは、機関室内の空気には主機の排気ガスが混じるおそれがあるためです。一酸化炭素を含む空気をそのまま送気すると、潜水者が中毒を起こします。水中では自力で外せないので、致命的になります。
(5)のスクーバ用高圧コンプレッサーの充塡圧力(一般に約20MPa、約30MPaの機種も)も正しい記述です。
潜水業務用コンプレッサーの要点
構造 原動機で駆動し、ピストンを往復させてシリンダー内の空気を圧縮する
固定式 潜水作業船に設置される場合が多い。空気取入口は機関室の外に置く
(機関室内では排気ガスを吸い込むおそれがあるため)
移動式 コンプレッサー・空気槽・原動機を組み合わせた一体型。
重量100kg程度で小型・軽量 …「分離式」は誤り
補機 大出力の主機を備える潜水作業船では、コンプレッサー専用の
原動機(補機)を設置して駆動するものが多い
ストレーナー 吸入する外気をろ過し、ゴミの侵入を防ぐ
予備空気槽 故障などの事故に備えて空気を蓄えておく
圧縮効率 圧力の上昇に伴って低下する …「増加する」は誤り
高圧コンプレッサー スクーバのボンベ充塡用。最高充塡圧力は一般に約20MPa、
約30MPaの機種もある
出典:潜水業務に用いる送気設備の一般的な構造と特性
潜水士 2025年下半期実施分(2026年4月掲載/公益財団法人 安全衛生技術試験協会 公表試験問題)

