肺及び呼吸に関し、誤っているものは次のうちどれか。…
高気圧障害 第21問
肺及び呼吸に関し、誤っているものは次のうちどれか。
- (1)肺の表面と胸郭内側の面は、胸膜で覆われており、両者間の空間を胸膜腔くうという。
- (2)肺は、肺胞と胸膜の協調運動によって膨らんだり縮んだりして、空気を出し入れしている。
- (3)胸郭内容積が増し、内圧が低くなるにつれ、鼻腔くう、気管などの気道を経て肺内へ流れ込む空気が吸気である。
- (4)肺胞内の空気と肺胞を取り巻く毛細血管中の血液との間で行われるガス交換を外呼吸という。
- (5)二酸化炭素濃度は、通常の空気中では0.04%程度であるが、呼気中では4%程度となる。
正答 (2)
正答は (2)。これが誤りです。
肺は「肺胞と胸膜の協調運動」で膨らむのではありません。肺自体に膨らむ力はなく、肋間筋や横隔膜といった呼吸筋が胸郭を広げることで、引かれて受動的に膨らみます。
(3)がその仕組みを正しく述べています。胸郭の内容積が増えて内圧が下がり、その結果として空気が流れ込む。肺が自分で吸い込んでいるのではなく、外側が広がって陰圧になったところへ空気が入ってくる、という順序です。
この理解は気胸を考えるときにも効きます。胸膜腔に空気が入って陰圧が失われると、胸郭が広がっても肺は膨らみません。肺が受動的だからこそ、外側の環境が崩れると呼吸できなくなるのです。
(5)の呼気中の二酸化炭素4%程度も正しい記述です。空気中の約0.04%の100倍にあたります。
肺と呼吸の要点
肺の動き 肺自体に膨らむ力はない。肋間筋や横隔膜などの呼吸筋が
胸郭を広げ、それに引かれて受動的に膨らむ
胸膜腔 肺の表面と胸郭内側を覆う胸膜の間の空間
気胸 胸膜腔に気体が入り、胸郭が広がっても肺が広がらない状態。
肺気腫とは別のもの(肺気腫は肺胞が壊れて広がる病気)
ガス交換 肺胞と呼吸細気管支でのみ行われる
外呼吸 肺胞内の空気と毛細血管の血液との間のガス交換
内呼吸 血液と体の各組織との間のガス交換
死腔 ガス交換に関与しない空間(口から気管支までの通り道)
潜水呼吸器を装着すると死腔は「増加」する。減少しない
死腔が「大きい」ほど酸素不足や二酸化炭素の蓄積が起こりやすい
二酸化炭素の濃度
通常の空気中 約0.04%
呼気中 約4% …「0.4%」は一桁小さい
潜水中の呼吸 深くなるほど呼吸ガスの密度が高くなり呼吸抵抗が増すため、
気道内を移動できるガスの量は減る
出典:呼吸生理に関する一般的な医学的知見
潜水士 2025年下半期実施分(2026年4月掲載/公益財団法人 安全衛生技術試験協会 公表試験問題)

