潜水によって生じる圧外傷に関し、正しいものは次のうちどれか。…
高気圧障害 第25問
潜水によって生じる圧外傷に関し、正しいものは次のうちどれか。
- (1)圧外傷は、潜降又は浮上いずれのときでも生じ、潜降時のものをブロック、浮上時のものをスクィーズと呼ぶ。
- (2)潜降時の圧外傷は、潜降による圧力変化のために体腔くう内の空気の体積が増えることにより生じ、中耳腔くう、副鼻腔くう、面マスクの内部や潜水服と皮膚の間などで生じる。
- (3)浮上時の圧外傷は、浮上による圧力変化のために体腔くう内の空気の体積が減少することにより生じ、副鼻腔くう、肺などで生じる。
- (4)深さ2m程度の浅い場所での潜水からの浮上でも、圧外傷が生じることがある。
- (5)潜降時の耳の圧外傷を防ぐためには、耳栓をするとよい。
正答 (4)
正答は (4)。これが正しい記述です。
深さ2m程度の浅い場所からの浮上でも圧外傷は起こります。
浅い場所ほど危険なのは、体積の変化「率」が大きいからです。
水深30m(4気圧)→ 20m(3気圧) 体積は 4/3 = 約1.3倍
水深10m(2気圧)→ 水面(1気圧) 体積は 2/1 = 2倍
水深2m(1.2気圧)→ 水面(1気圧) 体積は 1.2倍
同じ10mの浮上でも、深いところでは1.3倍にしかならないのに、水面直下の10mでは2倍にもなります。圧力の絶対値ではなく比で効いてくるため、水面に近いほど急激に膨張します。
「浅いから安全」という感覚が、この論点では逆になります。
(5)の耳栓についても補足します。耳栓で外耳道を塞ぐと、鼓膜の外側だけが密閉されて圧が伝わらなくなります。中耳は耳抜きで圧を合わせられても、外耳道が取り残されるため、鼓膜が引っ張られて損傷します。予防どころか原因になります。
(1)(2)(3)の誤りは、名前の取り違えと体積変化の向きの誤りです。
圧外傷の要点
潜降時(スクィーズ)
圧力が上がり、体腔内の空気の体積が「減る」→ 締め付けられる
起きる場所:中耳腔、副鼻腔、面マスクの内部、潜水服と皮膚の間
浮上時(ブロック)
圧力が下がり、体腔内の空気の体積が「増える」→ 膨らんで壊す
起きる場所:副鼻腔、肺、虫歯の空洞など
→ 名前も体積変化の向きも取り違えさせる出題が多い。
潜降=スクィーズ=圧縮、浮上=ブロック=膨張
耳栓 してはいけない。外耳道を塞ぐと圧平衡ができず、
かえって外耳道の圧外傷を招く
浅い場所 深さ2m程度でも圧外傷は起こる。むしろ浅いほうが危険
息止め 浮上時に息を止めるのは厳禁。肺が過膨張して破れる
浮上時の肺圧外傷は、気胸や空気塞栓症を引き起こすことがある
出典:潜水による圧外傷に関する一般的な医学的知見
潜水士 2025年下半期実施分(2026年4月掲載/公益財団法人 安全衛生技術試験協会 公表試験問題)

