潜水によって生じる空気塞栓症に関し、誤っているものは次のうちどれか。…
高気圧障害 第26問
潜水によって生じる空気塞栓症に関し、誤っているものは次のうちどれか。
- (1)空気塞栓症は、急浮上などによる肺の過膨張が原因となって発症する。
- (2)空気塞栓症は、肺胞の毛細血管に侵入した空気が、動脈系の末梢しょう血管を閉塞することにより起こる。
- (3)空気塞栓症は、脳においてはほとんど認められず、ほぼ全てが心臓において発症する。
- (4)空気塞栓症は、一般的には浮上してすぐに意識障害、痙攣けいれん発作などの重篤な症状を示す。
- (5)空気塞栓症を予防するには、浮上速度を守り、常に呼吸を続けながら浮上する。潜水 14/21
正答 (3)
正答は (3)。これが誤りです。脳と心臓が入れ替わっています。
空気塞栓症はほぼすべてが「脳」で発症します。心臓ではありません。
肺胞が破れて毛細血管に入った空気は、肺静脈から心臓へ戻り、そこから動脈血に乗って全身へ送り出されます。このとき気泡は軽いため上方へ向かいやすく、心臓から真上に伸びる脳の血管へ入り込みます。
脳の血管が詰まれば、浮上直後に意識障害や痙攣発作といった重篤な症状が現れます。(4)にある「浮上してすぐ」という発症の早さも、この経路の短さによるものです。
(1)(2)(4)(5)はいずれも正しい記述です。(5)の予防法が「浮上速度を守り、常に呼吸を続けながら浮上する」に尽きるのは、原因が肺の過膨張だからです。
空気塞栓症
原因 急浮上などによる肺の過膨張。息を止めたまま浮上すると起きやすい
機序 破れた肺胞から毛細血管に空気が入り、動脈系の末梢血管を閉塞する
好発部位 ほぼすべてが「脳」。心臓ではない。
肺から出た空気は動脈血に乗り、上へ向かう脳の血管へ入りやすい
症状 一般に浮上してすぐ、意識障害や痙攣発作などの重篤な症状が出る
予防 浮上速度を守り、常に呼吸を続けながら浮上する
なお UPTD(肺酸素毒性量単位)は酸素中毒の指標であって、
空気塞栓症の指標ではありません
出典:空気塞栓症に関する一般的な医学的知見
潜水士 2025年下半期実施分(2026年4月掲載/公益財団法人 安全衛生技術試験協会 公表試験問題)

