区分所有する者が複数名である甲マンションにおいて、区分所有者Aが管理者である場合の管理者の立場等に関する次の記述のうち、…

管理組合の運営 第4問

区分所有する者が複数名である甲マンションにおいて、区分所有者Aが管理者である場合の管理者の立場等に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

正答 (1)
正答は (1)。 【何を問うているか】 管理者の法律上の立場を問う問題です。区分所有法第28条は、管理者の権利義務は、この法律及び規約に定めるもののほか、委任に関する規定に従うと定めています。したがって、区分所有法に特別の定めがない事柄は、民法の委任の規定に戻って考えることになります。 【(1) 誤り。これが正答】 民法は、受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができないと定めています。すなわち、やむを得ない事由がある場合だけでなく、委任者の許諾があれば第三者に委任することができます。本肢は「やむを得ない事由があるときでなければ」と述べ、許諾がある場合を落としています。管理組合の承諾を得て事務の一部を第三者に委ねることは実際にも行われており、これを一律に禁じる理由はありません。本肢は誤りであり、正答となります。
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【(2) 正しい】 民法は、委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならないと定めています。受任者に立替えを強いる必要はないという考え方です。管理者Aは、管理者としての事務を処理するために費用が必要であれば、管理組合に対して前払を請求できます。本肢は正しい記述です。 【(3) 正しい】 区分所有法第26条第1項は、管理者は、共用部分、第21条に規定する場合における当該建物の敷地若しくは附属施設を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負うと定めています。ここでいう第21条に規定する場合とは、建物の敷地又は共用部分以外の附属施設が区分所有者の共有に属する場合です。したがって、敷地が区分所有者の共有又は準共有に属しないのであれば、管理者は敷地についてこれらの権限を持ちません。敷地が区分所有者のものでないのに管理者が保存行為をする根拠がないからです。本肢は正しい記述です。 【(4) 正しい】 民法は、受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができると定めています。委任者の過失の有無を問わない、いわば無過失責任です。他人の事務を引き受けた者が不意の損害を負うのは酷だという考え方に基づきます。管理者Aも、この規定により管理組合に賠償を請求できます。本肢は正しい記述です。 【あわせて押さえたいこと】 管理者には、このほか区分所有法上、規約や議事録の保管義務、集会における事務報告義務、共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求・受領についての代理権などが定められています。これらは区分所有法に特別の定めがある事柄であり、委任の規定に戻る必要はありません。 正答は (1) です。

出典:令和2年度 マンション管理士試験問題 問4(公益財団法人 マンション管理センター 公表)出典元ページ

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