違憲審査権に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。…
午前の部(憲法) 午前の部 第2問
違憲審査権に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。ア 表現の自由を規制する法律の規定は、一般の国民が当該規定から具体的場合に当該表現が規制の対象となるかどうかの判断が可能となるような基準を読みとることができない場合であっても、当該規定を限定して解釈することによって規制の対象となるものとそうでないものとを区別することができるときには、違憲無効であるとの評価を免れることができる。イ 最高裁判所によりある法律が違憲無効であると判断された場合には、その法律は、直ちに効力を失う。ウ 条約は、国家間の合意であるという性質に照らし、裁判所による違憲審査権の対象とならない。エ 被告人に対する没収の裁判が第三者の所有物を対象とするものであっても、当該被告人は、当該第三者に対して何ら告知、弁解、防禦の機会が与えられなかったことを理由に当該没収の裁判が違憲であることを主張することができる。オ 違憲審査権は、最高裁判所のみならず下級裁判所も有する。
- (1)アウ
- (2)アエ
- (3)イウ
- (4)イオ
- (5)エオ
正答 (5)
正答は (5)。正しいのはエとオです。
【ア】誤り
判例(税関検査の事件)は、表現の自由を規制する法律の規定を限定して解釈することが許されるのは、その解釈によって規制の対象となるものとそうでないものとが明確に区別され、合憲的に規制し得るものだけが対象となることが明らかにされる場合でなければならず、また、一般国民の理解において、具体的場合に当該表現が規制の対象となるかどうかの判断を可能にする基準をその規定から読みとることができるものでなければならないとしています。基準を読みとれない場合でも限定解釈で違憲を免れるとする点が誤りです。
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【イ】誤り
憲法にも法律にも、最高裁判所が違憲と判断した法律を当然に失効させる定めはありません。違憲判決の効力は、その事件に限って当該法律の適用を排除するもの(個別的効力)と一般に解されています。法律の改廃は国会が行うもので、最高裁判所は違憲の裁判をしたときは、その要旨を官報に公告し、裁判書の正本を内閣(法律の場合は国会にも)に送付する扱いです。「直ちに効力を失う」とはいえません。
【ウ】誤り
判例(砂川事件)は、日米安全保障条約のように高度の政治性を有する条約は、一見極めて明白に違憲無効と認められない限り司法審査の範囲外としましたが、これは条約が違憲審査の対象となり得ることを前提とした判断です。条約は国家間の合意だから当然に対象外とする点が誤りです。
【エ】正しい
判例(第三者所有物の没収の事件)は、第三者の所有物を、その第三者に告知・弁解・防禦の機会を与えずに没収することは憲法31条・29条に違反するとし、没収の言渡しを受けた被告人は、自分の占有物を取り上げられ、所有者から賠償請求を受けるおそれもあるなど利害関係を有するから、その違憲を主張して上告できるとしています。
【オ】正しい
判例は、憲法81条は最高裁判所が違憲審査権を有する終審裁判所であることを定めたもので、下級裁判所が違憲審査権を行使することを否定する趣旨ではないとしています。違憲審査権は、具体的な事件を裁判する際に下級裁判所も行使できます。
【組み合わせ】
正しいのはエとオで、これを組とする (5) が正答です。
出典:2023年(令和5年度) 司法書士試験 午前の部 第2問(法務省 公表)出典元ページ
最終更新日
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