供託物払渡請求権の消滅時効に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。…

午後の部(供託法・司法書士法) 午後の部 第11問

供託物払渡請求権の消滅時効に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。ア 受領拒絶を原因とする弁済供託における供託物還付請求権は、被供託者に供託の通知が到達した時から10年間行使しない場合には、時効によって消滅する。イ 弁済供託の被供託者から供託所に対し、供託を受諾する旨を記載した書面が提出された場合であっても、供託物還付請求権の消滅時効の更新の効力を生じない。ウ 供託物取戻請求権の消滅時効の更新の効力が生じた場合には、同一の供託に係る供託物還付請求権の消滅時効は、その時から新たに進行する。エ 家賃の5か月分につき一括してされた弁済供託の1か月分の供託金について取戻請求があり、これが払い渡された場合には、他の4か月分の供託金取戻請求権の消滅時効は、その時から新たに進行する。オ 供託者の請求により当該供託に関する書類の全部が閲覧に供された場合であっても、供託物取戻請求権の消滅時効の更新の効力を生じない。

正答 (3)
正答は (3)。正しいのはイとエです。 供託物払渡請求権(還付請求権・取戻請求権)は、民法の規定により時効で消滅します。供託所(供託官)が請求権の存在を認める行為をすれば「承認」として時効が更新されるので、どんな行為が承認に当たるかがこの問題の中心です。 【ア】誤り 受領拒絶を原因とする弁済供託では、被供託者は供託がされた時から還付を請求できます。2020年4月1日施行の改正後の民法第166条第1項により、還付請求権は、権利を行使できることを知った時から5年、又は権利を行使できる時(供託の時)から10年行使しないときに、時効によって消滅します。10年の期間は供託の時から進むので、「通知が到達した時から10年」とする記述は誤りです。
解説の続きをみる続きを閉じる
【イ】正しい 被供託者が供託所に供託を受諾する旨の書面を提出すると、供託者は取戻しができなくなります(民法第496条第1項)。しかし、受諾書の提出は被供託者の行為であって、債務者の立場にある供託所が還付請求権の存在を認める行為ではないので、還付請求権の消滅時効の更新の効力は生じないとされています。 【ウ】誤り 取戻請求権と還付請求権は、同じ供託から生じる別々の権利です。取戻請求権について時効の更新の効力が生じても、それによって同じ供託に係る還付請求権の消滅時効が新たに進行するわけではありません。時効の更新の効力は、その更新の事由が生じた権利についてだけ生じます。 【エ】正しい 家賃の数か月分を一括して弁済供託した場合に、そのうち1か月分の取戻請求に応じて払渡しがされたときは、供託所が残りの部分についても供託が存続していることを前提に処理をしたといえるので、他の部分の取戻請求権についても承認があったものとして、その時から消滅時効が新たに進行するとされています。 【オ】誤り 供託者の請求により、供託所がその供託に関する書類の全部を閲覧に供したときは、供託所が供託物の存在(取戻請求権の存在)を認めたものとして、取戻請求権の消滅時効の更新の効力が生じるとされています。記述は結論が逆です。 【覚え方】 時効の更新(承認)になるのは、債務者の立場にある「供託所側」が権利の存在を認める行為(一括供託の一部の払渡し、供託書類の閲覧への応諾など)です。被供託者の受諾書の提出のような、権利者側の行為では更新しません。 正しいのはイとエですから、正答は (3) です。

出典:2024年(令和6年度) 司法書士試験 午後の部 第11問(法務省 公表)出典元ページ

最終更新日

この回を通しで解く この分野を年度横断で解く

「午後の部(供託法・司法書士法)」のほかの問題

  1. 2025年(令和7年度) 午後の部 第8問司法書士又は司法書士法人に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記
  2. 2025年(令和7年度) 午後の部 第10問供託官の審査等に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せ
  3. 2021年(令和3年度) 午後の部 第8問司法書士又は司法書士法人の業務に関する次のアからオまでの記述のうち,誤っているものの組合
  4. 2021年(令和3年度) 午後の部 第10問弁済供託に関する次のアからオまでの記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5 ま
  5. 2022年(令和4年度) 午後の部 第8問司法書士又は司法書士法人に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、
  6. 2022年(令和4年度) 午後の部 第10問弁済供託に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5 ま

問題文・解答の修正依頼

スポンサーリンク