外国人の人権に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか…
午前の部(憲法) 午前の部 第1問
外国人の人権に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。ア 参政権は、その性質上国民にのみ認められる権利であるから、その居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至った在留外国人について、当該地方公共団体の長に対する選挙権を付与することは、憲法上許されない。イ 社会権は、その性質上外国人にも認められる権利であるから、外国人について、生活保護法に基づく保護の対象としないことは、憲法上許されない。ウ 何人も、居住、移転の自由を有するから、外国人には、我が国から出国する自由に加え、我が国に入国する自由も保障される。エ 何人も、みだりに指紋の押なつを強制されない自由を有するものというべきであり、在留外国人にもその保障が及ぶ。オ 政治活動の自由は、我が国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動など外国人の地位に鑑みこれを認めることが相当でないものを除き、在留外国人にもその保障が及ぶ。
- (1)アウ
- (2)アエ
- (3)イウ
- (4)イオ
- (5)エオ
正答 (5)
正答は (5)。正しいのはエとオです。
【ア】誤り
判例は、選挙権を定める憲法15条1項は国民(日本国籍を有する者)にのみ選挙権を保障したもので、地方公共団体の選挙権を定める93条2項の「住民」も日本国民を指すとしました。そのうえで、永住者などその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至った在留外国人について、法律で地方公共団体の長や議会の議員の選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないとしています。「付与することは許されない」とする点が誤りです。
【イ】誤り
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社会保障上の施策で在留外国人をどう処遇するかについて、判例(塩見訴訟)は、国は特別の条約の存しない限り政治的判断によって決定でき、限られた財源の下で福祉的給付を行うに当たり自国民を在留外国人より優先的に扱うことも許されるとしています。また判例は、生活保護法の保護の対象となる「国民」に外国人は含まれず、外国人は同法に基づく保護の対象とならないとしています。外国人を生活保護法の保護の対象としないことが、憲法上許されないわけではありません。
【ウ】誤り
判例は、外国人が我が国から出国する自由は憲法22条2項で保障されるとする一方で、外国人の入国の自由は憲法上保障されていないとしています。国際慣習法上、外国人を受け入れるかどうかは国家が自由に決められるからです。外国人の再入国の自由も保障されないとされます。
【エ】正しい
判例(指紋押なつ拒否事件)は、個人の私生活上の自由の一つとして、何人もみだりに指紋の押なつを強制されない自由を有し、国家機関が正当な理由もなく指紋の押なつを強制することは憲法13条の趣旨に反するとしたうえで、この自由の保障は在留外国人にも等しく及ぶとしました(ただし、当時の外国人登録法の指紋押なつ制度自体は合憲とされています)。
【オ】正しい
判例(マクリーン事件)は、基本的人権の保障は権利の性質上日本国民のみを対象とするものを除き在留外国人にも等しく及ぶとし、政治活動の自由についても、我が国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動など外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶとしました。記述はこの判示のとおりです。
【まとめ】
正しいのはエとオで、この組合せは (5) です。
【覚え方】
外国人の人権は「権利の性質」で決まります(性質説)。入国の自由・国政選挙権は保障されない、出国の自由・指紋押なつを強制されない自由・政治活動の自由(一定の限度で)は及ぶ、と整理しておくと選びやすくなります。
出典:2025年(令和7年度) 司法書士試験 午前の部 第1問(法務省 公表)出典元ページ
最終更新日
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