取締役会設置会社(監査等委員会設置会社を除く。)における取締役の責任に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組…

午前の部(会社法・商法) 午前の部 第32問

取締役会設置会社(監査等委員会設置会社を除く。)における取締役の責任に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。ア 取締役会設置会社の取締役は、自己のために当該会社と取引をしたことによって当該会社に損害が生じた場合において、その任務を怠ったことが当該取締役の責めに帰することができない事由によるものであることを証明したときは、当該会社に対して当該損害を賠償する責任を負わない。イ 取締役会設置会社の取締役は、自己のために当該会社の事業の部類に属する取引をしたことによって当該会社に損害が生じたときは、その任務を怠ったものと推定される。ウ 取締役会設置会社の取締役がその任務を怠ったことによって当該会社に生じた損害を賠償する責任は、総株主の同意がなければ、その全部を免除することができない。エ 取締役会設置会社がその計算において株主の権利の行使に関し財産上の利益の供与をした場合において、当該利益の供与をした取締役がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したときは、当該取締役は、当該会社に対し、供与した利益の価額に相当する額を支払う義務を負わない。オ 剰余金の配当により株主に対して分配可能額を超える金銭等が交付された場合において、当該剰余金の配当による金銭等の交付に関する職務を行った取締役会設置会社の業務執行取締役がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したときは、当該業務執行取締役は、当該会社に対し、当該金銭等の交付を受けた者が交付を受けた金銭等の帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負わない。

正答 (5)
正答は (5)。正しいのはウとオです。 【ア】誤り 自己のために株式会社と取引(直接取引。会社法356条1項2号)をした取締役の責任は、任務を怠ったことがその取締役の責めに帰することができない事由によるものであることをもって免れることができません(会社法428条1項)。自己のための直接取引をした取締役は、無過失を証明しても責任を免れない、という特別の規定です。 【イ】誤り 任務を怠ったものと推定されるのは、利益相反取引(会社法356条1項2号・3号)によって会社に損害が生じた場合の、その取引をした取締役などです(会社法423条3項)。競業取引(会社法356条1項1号)について定められているのは、承認を受けずに取引をした場合に取締役が得た利益の額を損害の額と推定する規定(会社法423条2項)で、任務懈怠の推定ではありません。
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【ウ】正しい 取締役の任務懈怠による会社に対する損害賠償責任(会社法423条1項)は、総株主の同意がなければ、免除することができません(会社法424条)。一部免除の制度(会社法425条から427条まで)はありますが、全部免除には総株主の同意が必要です。 【エ】誤り 株主の権利の行使に関して財産上の利益の供与をしたときは、その利益の供与に関与した取締役は、会社に対して供与した利益の価額に相当する額を支払う義務を負い、職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明すれば免れます。ただし、その利益の供与をした取締役自身は除かれており(会社法120条4項ただし書の括弧書)、注意を怠らなかったことを証明しても義務を免れません。 【オ】正しい 分配可能額を超えて剰余金の配当がされた場合、金銭等の交付を受けた株主のほか、その職務を行った業務執行者などは、会社に対し、交付を受けた者が交付を受けた金銭等の帳簿価額に相当する金銭を連帯して支払う義務を負います(会社法462条1項)。しかし、業務執行者などがその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この義務を負いません(同条2項)。 【まとめ】 正しいのはウとオで、この組合せは (5) です。 【整理】 無過失でも責任を免れないもの:自己のための直接取引をした取締役(428条1項)、利益供与をした取締役本人(120条4項)。注意を怠らなかったことを証明すれば免れるもの:利益供与に関与した他の取締役、違法配当の業務執行者など(462条2項)。

出典:2025年(令和7年度) 司法書士試験 午前の部 第32問(法務省 公表)出典元ページ

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