甲土地の所有権の登記名義人であるAが死亡した場合において、遺言執行者が指定され、又は選任されたときの甲土地についての登記…

午後の部(不動産登記法・商業登記法) 午後の部 第22問

甲土地の所有権の登記名義人であるAが死亡した場合において、遺言執行者が指定され、又は選任されたときの甲土地についての登記の手続に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。なお、受遺者は、Aの相続人でない者とし、いずれの遺言書も遺言書保管所に保管されていないものとする。ア Aが「甲土地をBに遺贈し、遺言執行者としてCを指定する。」旨の自筆証書による遺言をした後、甲土地についてAからDへの売買を原因とする所有権の移転の登記がされたが、錯誤を原因とする当該登記の抹消がされ、その後、Aが死亡した。この場合には、Cは、当該遺言書を添付情報として提供したときであっても、Bと共同して遺贈を原因とする所有権の移転の登記を申請することができない。イ Aが「甲土地をBに遺贈する。」旨の遺言をした後、Aが死亡し、家庭裁判所が遺言執行者Cを選任した場合において、Cが、遺言執行者の権限を証する情報としてその審判書を提供し、Bと共同して遺贈を原因とする所有権の移転の登記を申請するときは、Aの死亡を証する情報を提供することを要しない。ウ Aが「甲土地をBに遺贈し、遺言執行者としてCを指定する。」旨の遺言をしたが、Cについてはその氏名のみが遺言書に記載されていた場合において、Aが死亡し、Cが遺贈を原因とするAからBへの所有権の移転の登記を申請するときは、Cは、当該遺言書に加えて、Cが家庭裁判所により遺言執行者として選任されたことを証する情報を提供することを要する。エ Aが「甲土地をBに遺贈し、遺言執行者としてCを指定する。」旨の遺言をしたが、Aが死亡した後、甲土地について遺贈を原因とする所有権の移転の登記がされないまま、Cが死亡した場合において、Bが「甲土地をDに遺贈し、遺言執行者としてEを指定する。」旨の遺言をし、その後、Bが死亡したときは、Eは、Aの相続人全員と共同してAからBへの所有権の移転の登記を申請することができる。オ Aが「甲土地をBに遺贈し、遺言執行者としてCを指定する。」旨の自筆証書による遺言をした場合において、Aが死亡し、CがBと共同して遺贈を原因とする所有権の移転の登記の申請をするときは、遺言執行者の権限を証する情報として家庭裁判所が作成した遺言書の検認調書の謄本を提供することができる。

正答 (1)
正答は (1)。誤っているのはアとウです。 【ア】誤り 遺言の後に、遺言者が遺言と抵触する生前処分をしたときは、抵触する部分について遺言を撤回したものとみなされます(民法1023条2項)。しかし、AからDへの売買による登記が錯誤を原因として抹消されたのであれば、その登記は実体を欠くものだったことになり、遺言と抵触する生前処分があったとはいえません。遺贈は撤回されていないので、遺言執行者Cは、遺言書を提供して、受遺者Bと共同して遺贈を原因とする所有権の移転の登記を申請することができるとされています。
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【イ】正しい 家庭裁判所が選任した遺言執行者が遺贈の登記を申請するときは、遺言執行者の権限を証する情報として、遺言書と遺言執行者の選任の審判書を提供します。選任の審判は遺言者の死亡によって遺言が効力を生じたことを前提とするので、登記の実務では、別途Aの死亡を証する情報を提供することは要しないとされています。 【ウ】誤り 遺言で指定された遺言執行者が遺贈の登記を申請するときは、遺言執行者の権限を証する情報として、遺言書と遺言者の死亡を証する情報を提供すれば足ります。遺言書に遺言執行者の氏名のみが記載され、住所などの記載がなかったとしても、登記の実務では、そのことだけで家庭裁判所による選任を証する情報の提供が必要になるわけではないとされています。 【エ】正しい Aの遺言執行者Cが死亡し、新たな遺言執行者も選任されていないときは、遺贈の履行義務者はAの相続人全員です。一方、受遺者Bも死亡していますが、Bの遺言でDへの遺贈とその遺言執行者Eが定められているので、Eは、Bの遺言を執行するのに必要な行為として、その前提となるAからBへの所有権の移転の登記を、Bの側に立って申請することができます。登記の実務では、EがAの相続人全員と共同して、AからBへの遺贈による所有権の移転の登記を申請することができるとされています。 【オ】正しい 自筆証書遺言(遺言書保管所に保管されていないもの)は家庭裁判所の検認を要し(民法1004条1項)、登記の実務では、遺言執行者の権限を証する情報として、遺言書に代えて、家庭裁判所が作成した遺言書の検認調書の謄本(遺言書の写しが添付されたもの)を提供することができるとされています。 【まとめ】 誤っているのはアとウで、この組合せは (1) です。

出典:2025年(令和7年度) 司法書士試験 午後の部 第22問(法務省 公表)出典元ページ

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