A,B及びCが各3 分の1 の持分で甲土地を共有している場合に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正し…

午後の部(民法) 午後の部 第2問

A,B及びCが各3 分の1 の持分で甲土地を共有している場合に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは,後記1 から5 までのうち,どれか。ア 甲土地について,無権利者であるDが単独で所有する旨の不実の登記をした場合には,Aは,B及びCの同意を得ない限り,Dに対して,その登記の抹消を請求することはできない。イ 第三者Dが違法に甲土地を占有している場合には,Aは,B及びCの同意を得なくても,Dに対して,甲土地の明渡しを請求することができる。ウ AがB及びCに無断で甲土地に変更を加える行為をしている場合において,Bは,Cの同意を得ていないときは,Aに対して,当該行為の禁止を求めることはできない。エ 第三者Dが違法に甲土地を占有している場合には,Aは,Dに対して,B及びCに生じた損害についての賠償を請求することができない。オ A,B及びCが共同して甲土地をDに賃貸している場合において,Dに債務不履行があるときは,Aは,B及びCの同意を得なくても,当該賃貸借契約を解除することができる。

正答 (4)
正答は (4)。正しいのはイとエです。 【ア】誤り 無権利者Dの不実の登記の抹消を求めることは、共有物の保存行為(民法252条ただし書)に当たります。判例も、各共有者は、単独で、無権利者に対してその登記の全部の抹消を請求できるとしています。B及びCの同意は要りません。 【イ】正しい 不法に占有する第三者Dに甲土地の明渡しを求めることも保存行為に当たり、各共有者が単独ですることができます(判例)。Aは、B及びCの同意を得なくても、Dに明渡しを請求できます。 【ウ】誤り 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができません(民法251条)。判例は、共有者の一人が他の共有者の同意を得ずに変更を加える行為をしているときは、他の共有者は、各自単独で、その行為の禁止を求めることができるとしています。Bは、Cの同意がなくても、Aに禁止を求めることができます。
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【エ】正しい 不法占有による損害賠償請求権は、各共有者が持分の割合に応じて取得する金銭債権です。判例も、各共有者は自己の持分の割合を超えて請求することはできないとしています。Aは、B及びCに生じた損害の賠償を請求することはできません。 【オ】誤り 共有物を目的とする賃貸借契約の解除は、共有物の管理に関する事項に当たり、持分の価格の過半数で決します(民法252条本文)。判例も、この場合には解除権の不可分性(民法544条1項)の規定は適用されないとしています。持分3分の1のAだけでは過半数に達しないので、B及びCの同意がなければ解除できません。 【まとめ】 正しいのはイとエで、この組合せは (4) です。 【覚え方】 共有の行為は「保存(各自単独)」「管理(持分の過半数)」「変更(全員の同意)」に分けて整理します。不実登記の抹消・不法占拠者への明渡しは保存、賃貸借の解除は管理です。損害賠償は持分の割合までと押さえておきましょう。※2026年10月時点では、民法の令和3年改正(2023年4月1日施行)で251条・252条が改められ、軽微な変更は持分の過半数で決することができるなどの規定が加わっています。上の説明は出題時点の条文によるものです。

出典:2019年(令和元年度) 土地家屋調査士試験 午後の部 第2問(法務省 公表)出典元ページ

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