直流機の電機子反作用に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。…
機械 第1問
直流機の電機子反作用に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (1)直流発電機や直流電動機では,電機子巻線に電流を流すと,電機子電流によって電機子周辺に磁束が生じ,電機子電圧を誘導する磁束すなわち界磁磁束が,電機子電流の影響で変化する。これを電機子反作用という。
- (2)界磁電流による磁束のベクトルに対し,電機子電流による電機子反作用磁束のベクトルは,同じ向きとなるため,電動機として運転した場合に増磁作用,発電機として運転した場合に減磁作用となる。
- (3)直流機の界磁磁極片に補償巻線を設け,そこに電機子電流を流すことにより,電機子反作用を緩和できる。
- (4)直流機の界磁磁極のN 極とS 極の間に補極を設け,そこに設けたコイルに電機子電流を流すことにより,電機子反作用を緩和できる。
- (5)ブラシの位置を適切に移動させることで,電機子反作用を緩和できる。
正答 (2)
正答は (2)。
【電機子反作用の向き】
直流機では、界磁巻線が作る主磁束の向きと、電機子電流が作る磁束の向きは、たがいに直交しています。電機子巻線はブラシで区切られた位置を境に電流の向きが変わるので、電機子が作る磁束は、磁極を結ぶ軸(直軸)に対して90度ずれた軸(横軸)に沿ってできるからです。このため電機子反作用は、まず「交差磁化作用」として現れます。
【誤りの選択肢 (2)】
「界磁電流による磁束のベクトルに対し、電機子電流による電機子反作用磁束のベクトルは、同じ向きとなる」が誤りです。上に述べたとおり、両者は同じ向きではなく直交しています。
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その結果として起こるのは、次のような現象です。主磁束の分布が片寄り、一方の磁極端では磁束が強められ、反対側の端では弱められます。鉄心には磁気飽和があるため、強められる側の増加分は弱められる側の減少分より小さくなり、差し引きすると全体の磁束はいくらか減ります。つまり、増磁でも減磁でもなく、まず「ゆがみ」が生じ、飽和の効果によって結果的にわずかな減磁が現れる、というのが正しい姿です。また、選択肢は電動機で増磁、発電機で減磁と述べていますが、電機子電流の向きが逆になれば磁束のかたよる向きが逆になるだけで、飽和による減磁の傾向はどちらの運転でも同じように生じます。この点でも記述は正しくありません。
【正しい選択肢の確認】
(1) 電機子電流が作る磁束によって界磁磁束が影響を受ける現象を
電機子反作用という、という定義そのものです。正しい記述です。
(3) 補償巻線は、界磁の磁極片に設けた溝に納め、
電機子と直列に接続して電機子電流を逆向きに流す巻線です。電機子が作る起磁力をその場で打ち消すので、電機子反作用を根本から緩和できます。正しい記述です。
(4) 補極は、N極とS極の間、すなわち中性軸の位置に設ける小さな磁極で、
そのコイルに電機子電流を流します。整流中のコイルに適切な向きの起電力を与えて整流を助けるとともに、その位置の電機子反作用磁束を打ち消します。正しい記述です。
(5) 電機子反作用によって電気的中性軸がずれるので、
ブラシをその新しい中性軸の位置まで移動させれば、整流時の火花を減らすことができます。正しい記述です。ただし、負荷が変わるたびにずれる量も変わるため、実用上は補極や補償巻線のほうが確実です。
出典:令和5年度下期第三種電気主任技術者 機械科目 問1(一般財団法人 電気技術者試験センター 公表)出典元ページ
最終更新日
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