資本維持論に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。…
財務会計論 財務会計論 問題2
資本維持論に関する次の記述のうち,正しいものの組合せとして最も適切な番号を一つ選びなさい。(8点)ア.維持すべき資本の本質を貨幣に置く資本維持論には,企業が投下した資本の貨幣額を名目額のまま維持する考え方と,資本を貨幣の実質価値で維持する考え方が存在する。前者においては,貨幣価値が持続的に低下する経済状況の下でも,当期純利益の計算の際に資本の修正を必要としない。イ.インフレーションの経済状況下で取得原価に基づく資産の減価償却を実施した場合には,償却不足が貨幣資本の侵食をもたらすため,インフレーションの経済状況下における資本維持の考え方としては,維持すべき資本の本質を貨幣の実質価値とする考え方が適している。ウ.企業が投下した資本の貨幣額を名目額のまま維持する考え方は,貨幣価値変動の影響が資本の価値に反映されないことから,意思決定に有用な会計情報の提供のためには不十分であり,財務報告においては採用されない。エ.3年前に取得した建物が火災により焼失し,受け取った保険金で当該建物を再建した。建物取得時から3年間で一般物価が20%上昇しているが,保険金の額は建物の再建に要した金額を上回っていた。資本を貨幣の実質価値で維持する考え方によれば,焼失した建物の帳簿価額と受け取った保険金の差額は全て保険差益として特別利益となる。
- (1)アイ
- (2)アウ
- (3)アエ
- (4)イウ
- (5)イエ
- (6)ウエ
正答 (1)
正答は (1)。名目資本維持では貨幣価値が下がり続けても資本を修正せず(ア)、インフレ下では実質資本維持の考え方が適しています(イ)。
資本維持の考え方(名目貨幣資本維持・実質貨幣資本維持)を問う問題です。
【各記述】
ア 正しい。貨幣資本維持には、投下資本の貨幣額を名目額のまま維持する考え方と、貨幣の購買力(実質価値)で維持する考え方があります。名目資本維持では、貨幣価値が下がる状況でも利益の計算で資本を修正しません。
イ 正しい。インフレ下で取得原価による減価償却をすると、取替えに必要な資金に対して償却が不足し、実質的に資本が食いつぶされます。そのため、実質資本維持の考え方が適しています。
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ウ 誤り。名目資本維持は、取得原価主義に基づく現行の財務報告の基礎となっている考え方です。採用されないわけではありません。
エ 誤り。実質資本維持では、焼失した建物の帳簿価額に一般物価の上昇分(20%)を掛けた額は資本の修正(維持すべき資本)として扱います。保険金との差額のすべてが保険差益(利益)になるのではありません。
正しいのはアとイで、(1) です。
出典:2024年(令和6年)第Ⅰ回 公認会計士試験 短答式試験 財務会計論 問題2(金融庁 公表)出典元ページ
最終更新日
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