甲マンションの305号室を所有するAは、同室のキッチンの設備が老朽化したことから、業者Bとの間で、その設備を報酬100万…

建物・設備・修繕 第16問

甲マンションの305号室を所有するAは、同室のキッチンの設備が老朽化したことから、業者Bとの間で、その設備を報酬100万円でリニューアルする旨の請負契約を締結した。この場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

正答 (4)
正答は (4)。 【何を問うているか】 専有部分の内装工事を題材にした請負契約の問題です。報酬の支払時期、各当事者の解除権、仕事の目的物に問題があった場合の処理という、請負の基本構造が問われています。 【出題当時の法状況について】 本問は民法の大きな改正(令和2年4月1日施行)より前に出題されたもので、選択肢の一部は当時の瑕疵担保責任の規定を前提としています。改正後は「瑕疵」という用語が「契約の内容に適合しないこと」に置き換えられ、条文の構成も変わりましたが、結論の考え方には引き継がれている部分が多くあります。以下では出題当時の規定を前提に説明します。
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【(1) 誤り】 民法第633条は、報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に支払わなければならないと定めています。物の引渡しを要しない請負であれば、仕事を完成した後に支払うことになります。いずれにしても後払いが原則であり、工事の着手と同時に支払うのではありません。注文者は仕事が完成して初めて目的を達するのですから、それまで報酬を払わなくてよいというのは素直な理屈です。本肢は誤りです。 【(2) 誤り】 民法第641条は、注文者は、請負人が仕事を完成しない間は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができると定めています。仕事が不要になった注文者に、損害を填補することを条件として契約から離脱する道を認めたものです。この解除権を持つのは注文者であって、請負人ではありません。本肢は請負人Bが解除できるとしている点で誤りです。主語の入替えは頻出の引っかけですから、必ず誰の権利かを確認してください。 【(3) 誤り】 民法第642条第1項は、注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は契約の解除をすることができると定めています。注文者の資力が失われた以上、請負人に工事を続けさせても報酬が回収できないおそれが高いため、離脱を認めたものです。本肢は「解除することができない」としている点で誤りです。なお、現在の民法では、請負人は仕事を完成した後は解除することができないという限定が加えられています。 【(4) 正しい。これが正答】 出題当時の民法第634条第1項は、仕事の目的物に瑕疵があるときは注文者は修補を請求できるとしつつ、ただし書で、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでないと定めていました。直す必要性が小さいのに費用ばかりかかるのであれば、修補を強いるのは行き過ぎだという均衡の考え方です。この場合、注文者は修補に代わる損害賠償などで処理することになります。本肢はこの内容どおりですから正しく、正答となります。なお、現在の民法のもとでも、履行の追完が不能であるときは追完を請求できないとされており、過分の費用を要する修補は社会通念に照らして不能と評価され得ますから、同様の結論に至ると考えられます。 正答は (4) です。

出典:令和元年度 マンション管理士試験問題 問16(公益財団法人 マンション管理センター 公表)出典元ページ

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