一筆の敷地上に、甲棟、乙棟及び丙棟があり、いずれの棟も専有部分のある建物である。また、敷地は区分所有者全員で共有している…

建物・設備・修繕 第10問

一筆の敷地上に、甲棟、乙棟及び丙棟があり、いずれの棟も専有部分のある建物である。また、敷地は区分所有者全員で共有している。この場合において、甲棟を取り壊し、かつ、従前の甲棟の所在地に新たに建物を建築すること(この問いにおいて「甲棟の建替え」という。)についての、団地管理組合の集会における建替え承認決議に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、甲棟の建替えは、他の棟の建替えに特別の影響を及ぼさないものとする。

正答 (3)
正答は (3)。 【何を問うているか】 団地における建替え承認決議の手続を問う問題です。一筆の敷地を三棟の区分所有者全員で共有しているという設定ですから、区分所有法第69条が適用される典型的な場面です。 【制度の趣旨】 団地内の一棟を建て替えると、共有である敷地の利用の態様が変わり、他の棟の所有者にも影響が及びます。そこで、その棟自身の建替え決議(各5分の4以上)とは別に、敷地の共有者としての承認を団地管理組合の集会で得ることが求められています。 【(1) 正しい】 区分所有法第69条第2項は、建替え承認決議における各団地建物所有者の議決権は、団地管理組合の規約に基づく議決権の割合にかかわらず、敷地の持分の割合によると定めています。建替え承認決議は敷地の共有者としての立場で行うものですから、規約でどのような議決権割合を定めていても、この決議に限っては敷地の持分が基準になります。本肢は正しい記述です。
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【(2) 正しい】 同条第1項は、特定建物の建替えは、団地管理組合の集会において議決権の4分の3以上の多数による承認の決議を得たときは行うことができると定めています。なお、この決議では区分所有者の頭数の要件は課されていません。議決権だけで判断される珍しい決議ですから、意識して覚えておいてください。本肢は正しい記述です。 【(3) 誤り。これが正答】 建替え承認決議については、説明会の開催を義務づける規定はありません。会日より少なくとも2月前に招集の通知を発しなければならない(この期間は規約で伸長できます)という定めはありますが、説明会までは要求されていません。説明会の開催が義務づけられているのは、区分所有法第62条の建替え決議を会議の目的とする集会の場合であり、その場合は会日の少なくとも1月前までに説明会を開かなければなりません。建替え決議は、その棟の区分所有者が自らの住まいを失い新たな負担を負うかどうかを決めるものであるのに対し、建替え承認決議は他の棟の建替えを敷地の共有者として承認するにとどまりますから、手続の厚みに差が設けられているわけです。本肢は誤りであり、正答となります。 【(4) 正しい】 同条第3項は、特定建物について建替え決議がされた場合には、その特定建物の区分所有者全員が、建替え承認決議において建替えに賛成する旨の議決権の行使をしたものとみなす旨を定めています。したがって、甲棟の建替え決議に反対していた区分所有者Aも、団地管理組合の集会における建替え承認決議では賛成したものとみなされます。棟としての意思が建替え決議によって一つに固まった以上、団地の場ではその棟を一体として扱うという考え方です。本肢は正しい記述です。 【手続の対比】  建替え決議(第62条)   各5分の4以上。招集通知は会日の2月前まで。会日の1月前までに説明会。  建替え承認決議(第69条) 議決権の4分の3以上(敷地の持分割合)。招集通知は会日の2月前まで。説明会の定めなし。 正答は (3) です。 ※2026年10月時点では、2025年の改正により、建替え承認決議は、議決権の過半数を有する者が出席し、出席者の議決権の4分の3以上の多数によるものに改められ(第69条第1項)、特定建物が耐震性の不足など一定の基準に当たる場合は3分の2以上とされています(同条第8項)。建替え決議にも、一定の場合に各4分の3以上に緩和する規定が設けられています(第62条第2項)。

出典:令和2年度 マンション管理士試験問題 問10(公益財団法人 マンション管理センター 公表)出典元ページ

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