大規模な火災、震災その他の災害で政令で定めるものにより、その一部が滅失(区分所有法第61 条第1項本文に規定する場合(小…
民法など法令 第11問
大規模な火災、震災その他の災害で政令で定めるものにより、その一部が滅失(区分所有法第61 条第1項本文に規定する場合(小規模滅失)を除く。)したマンションの建物及びその敷地の売却の決議(この問いにおいて「売却決議」という。)に関する次の記述のうち、被災マンション法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、マンションの敷地利用権は、数人で有する所有権その他の権利とする。
- (1)区分所有者は、区分所有者、議決権及び敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上の多数による売却決議があれば、建物と敷地利用権の両方を売却することができる。
- (2)売却決議を行うための区分所有者集会の招集については、規約をもってしても、その発出から会日までの期間を2ヵ月間よりも短縮することはできない。
- (3)敷地利用権が土地の賃借権である場合にも、借地権設定者の同意を得ずに、建物及びその敷地の賃借権を売却することができる。
- (4)区分所有者集会において売却決議がなされても、専有部分の賃借権は当然には消滅しない。
正答 (3)
正答は (3)。
【何を問うているか】
被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(被災マンション法)が定める、建物及びその敷地の売却の決議についての問題です。小規模滅失を除く一部滅失があった場合に、区分所有関係を清算してしまう手段として用意されたものです。
【(1) 正しい】
被災マンション法は、政令で定める災害により区分所有建物の一部が滅失した場合(小規模滅失を除きます)において、区分所有者集会で区分所有者、議決権及び敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上の多数により、建物及びその敷地を売却する旨の決議をすることができると定めています。この決議があれば、建物と敷地利用権の両方をまとめて売却できます。建替え決議と同じ各5分の4以上とされているのは、区分所有関係そのものを終わらせる重大な決定だからです。本肢は正しい記述です。
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【(2) 正しい】
売却決議を会議の目的とする区分所有者集会を招集するときは、招集の通知は会日より少なくとも2月前に発しなければならず、この期間は規約で伸長することはできても短縮することはできません。区分所有者に十分な検討の時間を確保するための定めですから、規約で短くすることを認めては趣旨が損なわれます。本肢は正しい記述です。建替え決議の招集通知が会日の2月前までとされ、規約で伸長のみ可能とされているのと同じ構造です。
【(3) 誤り。これが正答】
敷地利用権が土地の賃借権である場合、その賃借権を譲渡するには、民法の原則により賃貸人(借地権設定者)の承諾が必要です。被災マンション法は、区分所有者の側の意思決定の要件を定めたものであって、賃貸人の承諾を不要とする規定は置いていません。区分所有者が集まって決議したからといって、契約の相手方である地主の権利を一方的に奪うことはできないからです。承諾が得られない場合には、借地借家法に基づき裁判所に承諾に代わる許可を求めることが考えられます。本肢は「借地権設定者の同意を得ずに」売却できるとしている点で誤りであり、正答となります。
【(4) 正しい】
売却決議は、区分所有者の間で建物及び敷地を売却するという意思を決めるものであって、専有部分の賃借人の権利を当然に消滅させるものではありません。建物の賃借権は引渡しによって対抗力を備えますから、買主に対しても賃借権を主張できるのが原則です。区分所有法や被災マンション法に、決議によって賃借権が消滅する旨の定めは置かれていません。本肢は正しい記述です。実務上は、売却の実行にあたって賃借人との間で明渡しの合意をするなどの手当てが別途必要になります。
【関連する決議の整理】
被災マンション法には、次の決議が用意されています。一部滅失の場合の区分所有者集会は政令の施行の日から1年以内、全部滅失の場合の敷地共有者等集会は3年以内に開くことができます。
一部滅失(政令施行日から1年以内)
建物敷地売却決議 区分所有者、議決権及び敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上
建物取壊し敷地売却決議 同上
取壊し決議 区分所有者及び議決権の各5分の4以上
全部滅失(政令施行日から3年以内)
再建決議 敷地共有者等の議決権の5分の4以上
敷地売却決議 敷地共有者等の議決権の5分の4以上
いずれも重い要件が課されている点で共通しています。
正答は (3) です。
出典:令和2年度 マンション管理士試験問題 問11(公益財団法人 マンション管理センター 公表)出典元ページ
最終更新日
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