Aは、甲マンションの1室を所有し、Aの子Bと同室に居住しているが、BがAから代理権を与えられていないにもかかわらず、Aの…

民法など法令 第12問

Aは、甲マンションの1室を所有し、Aの子Bと同室に居住しているが、BがAから代理権を与えられていないにもかかわらず、Aの実印を押捺した委任状を作成し、Aの代理人と称して同室を第三者Cに売却する契約を締結し、登記も移転した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

正答 (2)
正答は (2)。 【事案の整理】 子Bが、代理権を与えられていないのにAの代理人と称して、A所有の住戸をCに売却しました。典型的な無権代理の事案です。実印を押した委任状を勝手に作った点が、表見代理の成否との関係で問題になります。 【(1) 誤り】 表見代理のうち、代理権授与の表示による表見代理は、本人が第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した場合に成立します。本問では、委任状を作成したのはBであってAではありませんから、Aが代理権を与えた旨を表示した事実はありません。したがってこの表見代理は成立せず、Cが委任状を真正なものと信じ、信じたことに過失がなかったとしても、売買契約が当然に有効になるわけではありません。本肢は誤りです。同居している子が親の実印を持ち出せる状態にあったといった事情から、本人に責められるべき事情があると評価される場合はあり得ますが、それは別途の検討を要する事柄であり、本肢のように言い切ることはできません。
解説の続きをみる続きを閉じる
【(2) 正しい。これが正答】 無権代理人が本人を単独で相続した場合について、判例は、本人が自ら法律行為をしたのと同様の法律上の地位が生じ、無権代理行為は当然に有効となるとしています。自分でした無権代理行為について、相続によって本人の地位を得た者が追認を拒絶するのは、信義則に照らして許されないからです。したがって、売買契約は相続とともに当然に有効となります。本肢は正しい記述であり、正答となります。 【(3) 誤り】 日本の民法は、不動産の登記に公信力を認めていません。すなわち、登記を信頼して取引をした者が、それだけで保護されるという仕組みにはなっていません。したがって、DがCの所有権登記を信じ、信じたことに過失がなかったとしても、それだけでAに対して所有権を主張できるわけではありません。本肢は誤りです。なお、本人が虚偽の外観の作出に関与したといえるような事情があれば、民法第94条第2項の類推適用によって第三者が保護される余地はありますが、本問にはそのような事情は示されていません。 【(4) 誤り】 民法は、無権代理の相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができるとし、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなすと定めています。追認したものとみなされるのではありません。本人は自分の関与しない行為によって義務を負わされる立場ですから、沈黙を不利益に扱わない建付けになっています。本肢は誤りです。なお、制限行為能力者に対する催告の場合には、一定の場合に追認したものとみなす扱いがありますから、両者を取り違えないようにしてください。 正答は (2) です。

出典:令和2年度 マンション管理士試験問題 問12(公益財団法人 マンション管理センター 公表)出典元ページ

最終更新日

この回を通しで解く この分野を年度横断で解く

「民法など法令」のほかの問題

  1. 令和元年度 第18問敷地権付き区分建物に関する登記等に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、正し
  2. 令和3年度 第18問区分建物の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法(平成16 年法律第123 号)の規定
  3. 令和4年度 第15問甲マンション302 号室を所有しているAが各種の契約をする場合に関する次の記述のうち、民
  4. 令和5年度 第16問Aは、甲マンションの202 号室を所有して居住しているが外国出張で不在にしており、Bは、
  5. 令和6年度 第19問マンションの建替え等の円滑化に関する法律(平成14 年法律第78 号)に関する次の記述の
  6. 令和7年度 第18問区分建物の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法及び区分所有法の規定によれば、誤ってい

問題文・解答の修正依頼

スポンサーリンク