抵当権の効力に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは,後記1から5 までのうち,どれ…

午前の部(民法) 午前の部 第13問

抵当権の効力に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは,後記1から5 までのうち,どれか。ア 抵当権の設定の登記後に締結された賃貸借により競売手続の開始前から抵当権の目的である建物の使用収益をする賃借人は,当該抵当権が実行されて当該建物が競落された場合は,買受人に対し,当該建物を直ちに引き渡さなければならない。イ 一般債権者が抵当不動産を差し押さえたときは,抵当権者は,第三者異議の訴えにより,その強制執行の不許を求めることができる。ウ 建物の抵当権者による当該建物の賃料請求権に対する物上代位権の行使は,被担保債権について債務不履行がなくても,することができる。エ 抵当権者は,先順位の抵当権がその被担保債権の弁済によって消滅した場合には,その先順位の抵当権設定登記の抹消登記手続を請求することができる。オ Aのための抵当権の設定の登記がされた後に,抵当権の設定者Bが抵当不動産をCに賃貸し,その賃料債権をDに譲渡した場合には,当該債権譲渡について第三者対抗要件が具備された後においても,Aは自らその賃料債権を差し押さえて,物上代位権を行使することができる。

正答 (5)
正答は (5)。正しいのはエとオです。 【ア】誤り 抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者で、競売手続の開始前から使用又は収益をする者は、その建物の競売における買受人の買受けの時から6箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しません(民法395条1項1号)。直ちに引き渡す必要はありません(いわゆる建物明渡猶予制度)。 【イ】誤り 抵当権は目的物の占有を伴わない担保権で、一般債権者が抵当不動産を差し押さえても、抵当権者は、その競売手続の中で配当を受けて優先弁済を受けることができます。差押えによって抵当権が害されるわけではないので、抵当権者が第三者異議の訴え(民事執行法38条)によって強制執行の不許を求めることはできないと解されています。
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【ウ】誤り 抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及びます(民法371条)。賃料債権に対する物上代位権の行使も、抵当権の実行の一つとして、被担保債権の債務不履行があることが前提です。債務不履行がなければ物上代位権を行使することはできません。 【エ】正しい 判例は、先順位の抵当権がその被担保債権の弁済によって消滅した場合、後順位の抵当権者は、先順位の抵当権設定登記の抹消登記手続を請求できるとしています。消滅した先順位抵当権の登記が残っていると、後順位抵当権者の順位上昇の利益が妨げられるためです。 【オ】正しい 判例は、抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができるとしました。民法304条1項ただし書の「払渡し又は引渡し」には債権譲渡は含まれず、抵当権の効力が物上代位の目的債権に及ぶことは抵当権設定登記によって公示されているとの理由です。 【組み合わせ】 正しいのはエとオで、これを組とする (5) が正答です。 【見分け方】 物上代位で、抵当権者が債権譲渡に優先するのに対し、動産売買の先取特権者は、目的債権が譲渡され対抗要件が備えられた後は物上代位権を行使できないとされています(先取特権には公示がないため)。比べて覚えると区別しやすくなります。

出典:2021年(令和3年度) 司法書士試験 午前の部 第13問(法務省 公表)出典元ページ

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