次の対話は、所有権の取得に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、判例の趣…

午前の部(民法) 午前の部 第9問

次の対話は、所有権の取得に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。教授: 所有権の取得の形態には、承継取得と原始取得の2つがありますね。民法には、付合、混和及び加工の規定がありますが、これらの規定による取得は承継取得と原始取得のどちらに当たりますか。学生:ア 原始取得に当たります。教授: Aの所有する甲動産とBの所有する乙動産とが、付合により、損傷しなければ分離することができなくなった場合において、甲動産の方が主たる動産であるときは、その合成物の所有権は誰に帰属しますか。学生:イ Aに帰属します。教授: 請負人が自ら材料を提供して建物の建築を始めたが、独立の不動産になっていない建前の状態で工事を中止した後、第三者がその建前に自ら材料を提供して工事を続行して建物を建築した場合には、その建物の所有権の帰属はどの規定により決定されるでしょうか。学生:ウ 動産の付合の規定により決定されます。教授: 他人の動産に、自らは他に材料を提供しないで工作を加えた者が加工物の所有権を取得するのはどのような場合ですか。学生:エ 工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときです。教授: Aの所有する甲液体とBの所有する乙液体とが混和して識別することができなくなった場合には、その合成物の所有権は誰に帰属しますか。学生:オ 甲液体と乙液体について主従の区別が可能かどうかにかかわらず、混和の時における価格の割合に応じて、AとBとが共有することになります。

正答 (5)
正答は (5)。誤っているのはウとオです。 【ア】正しい 付合・混和・加工(民法242条〜246条)による所有権の取得は、前の所有者の権利を引き継ぐものではなく、法律の規定によって新たに所有権を取得するものなので、原始取得に当たります。そのため、もとの物の上にあった他の権利は、原則として消滅します(247条1項)。 【イ】正しい 所有者の異なる数個の動産が、付合により、損傷しなければ分離できなくなったときは、合成物の所有権は主たる動産の所有者に帰属します(243条前段)。甲動産が主たる動産なので、合成物はAのものになります。
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【ウ】誤り 判例は、請負人が建築を始めた建物が、まだ独立の不動産に至らない建前の状態で工事が中止され、第三者が自ら材料を提供して工事を続け建物を完成させた場合には、その建物の所有権の帰属は、動産の付合の規定(243条)ではなく、加工の規定(246条2項)に基づいて決めるべきだとしています。建物の建築では、材料よりも工作の価値が大きいことが多いので、第三者の工作によって生じた価格とその材料の価格の合計が、もとの建前の価格を超えるかどうかで判断するのが実情に合うからです。 【エ】正しい 他人の動産に工作を加えた場合、加工物の所有権は原則として材料の所有者に帰属しますが、工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは、加工者が加工物の所有権を取得します(246条1項)。加工者が材料の一部を提供したときは、同条2項の別の基準(提供した材料の価格と工作の価格の合計が、他人の材料の価格を超えるか)によります。 【オ】誤り 混和には付合の規定(243条・244条)が準用されます(245条)。主従の区別ができるときは、合成物の所有権は主たる物の所有者に帰属し(243条の準用)、主従の区別ができないときに限って、混和の時における価格の割合に応じて共有となります(244条の準用)。主従の区別が可能かどうかにかかわらず共有になるとする点が誤りです。 【組み合わせ】 誤っているのはウとオで、これを組とする (5) が正答です。

出典:2023年(令和5年度) 司法書士試験 午前の部 第9問(法務省 公表)出典元ページ

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