委任に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。…

午前の部(民法) 午前の部 第19問

委任に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。ア 受任者は、委任者の許諾を得なくとも、やむを得ない事由があるときは、復受任者を選任することができる。イ 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用の償還を請求することができるが、支出の日以後におけるその利息の償還を請求することはできない。ウ 受任者が第三者との間で委任事務を処理するのに必要と認められる金銭債務を負った場合において、受任者が委任者に対して自己に代わってその弁済をすることを請求したときは、委任者は、受任者に対して他の売買契約に基づき代金支払債権を有していても、受任者による当該請求に係る権利を受働債権とし、受任者に対する当該代金支払債権を自働債権として、相殺することができない。エ 受任者の利益をも目的とする委任については、その利益が専ら受任者が報酬を得ることによるものであるときであっても、これを解除した委任者は、受任者の損害を賠償する義務を負う。オ 委任の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。

正答 (4)
正答は (4)。誤っているのはイとエです。 【ア】正しい 受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任できません(民法644条の2第1項)。逆にいえば、やむを得ない事由があれば、許諾がなくても復受任者を選任できます。 【イ】誤り 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求できます(民法650条1項)。利息も請求できます。 【ウ】正しい 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求できます(民法650条2項、代弁済請求権)。判例は、この代弁済請求権を受働債権とし、委任者が受任者に対して持つ金銭債権を自働債権とする相殺はできないとしています。代弁済請求権は受任者を第三者への債務から解放するためのもので、相殺を認めると受任者は第三者に弁済しなければならないまま残り、その目的を果たせないからです。
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【エ】誤り 委任は各当事者がいつでも解除できますが、委任者が受任者の利益をも目的とする委任を解除したときは、やむを得ない事由がない限り、相手方の損害を賠償しなければなりません(民法651条1項・2項2号)。ただし、ここでいう受任者の利益からは「専ら報酬を得ることによるもの」が除かれています(同号かっこ書)。受任者の利益が報酬を得ることだけなら、この理由で損害賠償義務を負うことはありません(相手方に不利な時期の解除は別です。同項1号)。 【オ】正しい 委任の解除は、将来に向かってのみその効力を生じます(民法652条による620条の準用)。 【組み合わせ】 誤っているのはイとエで、これを組とする (4) が正答です。

出典:2023年(令和5年度) 司法書士試験 午前の部 第19問(法務省 公表)出典元ページ

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