意思表示に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。…
午前の部(民法) 午前の部 第5問
意思表示に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。ア 意思表示の通知が相手方に到達したというためには、その通知が相手方の了知可能な状態に置かれることをもって足りる。イ 契約を解除する旨の意思表示は、その通知の発信から相手方への到達までの間に表意者が意思能力を喪失したときは、その効力を生じない。ウ 隔地者間の契約は、承諾の通知が申込者に到達したときは、承諾の通知を発した時に遡って成立する。エ 公示による意思表示は、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失がないときは、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から2週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなされる。オ 公示による意思表示の公示に関する手続は、表意者の住所地の登記所の管轄に属する。
- (1)アウ
- (2)アエ
- (3)イエ
- (4)イオ
- (5)ウオ
正答 (2)
正答は (2)。正しいのはアとエです。
【ア】正しい
意思表示は、その通知が相手方に到達した時から効力を生じます(民法97条1項)。判例は、ここでいう到達とは、相手方が意思表示の内容を現実に了知することまでは要せず、相手方の了知可能な状態に置かれること(いわゆる勢力範囲に入ること)をもって足りるとしています。
【イ】誤り
意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられません(民法97条3項)。発信後に表意者が意思能力を失っても、解除の意思表示は到達によって効力を生じます。
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【ウ】誤り
2017年の民法改正(2020年4月1日施行)で、隔地者間の契約は承諾の通知を発した時に成立するという旧526条1項(発信主義)は削除されました。現在は、承諾も意思表示の一般原則(到達主義)に従い、承諾の通知が申込者に到達した時に契約が成立します(民法522条1項・97条1項)。発信時に遡って成立するわけではありません。
【エ】正しい
公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から2週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなされます。ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じません(民法98条3項)。記述は、過失がない場合について述べているので正しいです。
【オ】誤り
公示に関する手続は、相手方を知ることができない場合には表意者の住所地の、相手方の所在を知ることができない場合には相手方の最後の住所地の簡易裁判所の管轄に属します(民法98条4項)。登記所ではありません。
【まとめ】
正しいのはアとエで、この組合せは (2) です。
出典:2025年(令和7年度) 司法書士試験 午前の部 第5問(法務省 公表)出典元ページ
最終更新日
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