即時取得に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか…
午前の部(民法) 午前の部 第9問
即時取得に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。ア A所有の甲動産をAから預かっていたBが、甲動産がBの所有であると過失なく信じているCに対して甲動産を売却し、以後BがCのために引き続き甲動産を保管する意思を表示した場合には、Cは、甲動産を即時取得する。イ A所有の甲動産をAから預かっていたBが死亡し、甲動産がBの所有であると過失なく信じているCが、Bを相続し、甲動産の占有を承継した場合には、Cは、甲動産を即時取得する。ウ A所有の甲動産をAから預かっていたBが、甲動産がBの所有であると過失なく信じていたCとの間で甲動産の売買契約を締結した後、Cが、甲動産についてBが無権利であることを知り、甲動産の現実の引渡しを受けた場合には、Cは、甲動産を即時取得することができない。エ A所有の甲動産をAから預かっていたBが、甲動産がBの所有であると過失なく信じているCのために動産に質権を設定し、Cに甲動産の現実の引渡しをした場合には、Cは、甲動産について質権を即時取得する。オ A所有の甲動産を盗んだBが、甲動産がBの所有であると過失なく信じているCに対して甲動産を売却し、現実の引渡しをした場合には、Aは、その盗難から2年間は、Cに対し、甲動産の返還を求めることができる。
- (1)アイ
- (2)アオ
- (3)イウ
- (4)ウエ
- (5)エオ
正答 (1)
正答は (1)。誤っているのはアとイです。
【ア】誤り
即時取得(民法192条)には、取引行為によって動産の占有を始めることが必要です。判例は、占有改定(民法183条)による占有の取得では即時取得は成立しないとしています。BがCのために引き続き保管する意思を表示するのは占有改定ですから、Cは即時取得しません。
【イ】誤り
即時取得は取引の安全を守る制度で、取引行為による占有の取得が要件です。相続は取引行為ではないので、相続人Cが被相続人Bの占有を承継しても、甲動産をBの所有と過失なく信じていたとしても、即時取得は成立しません。
解説の続きをみる続きを閉じる
【ウ】正しい
即時取得の善意・無過失は、占有を取得する時点で必要です。売買契約の時には善意・無過失でも、現実の引渡しを受ける前にBが無権利であることを知ったのであれば、占有を始めた時点で悪意ですから、Cは即時取得できません。
【エ】正しい
民法192条は、動産について行使する権利を即時に取得すると定めており、所有権だけでなく質権も即時取得の対象になります。Cは現実の引渡しを受けているので(質権の設定には目的物の引渡しが必要です。民法344条)、甲動産について質権を即時取得します。
【オ】正しい
即時取得の要件を満たす場合でも、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から2年間、占有者に対してその物の回復を請求することができます(民法193条)。Aは盗難の時から2年間、Cに返還を求めることができます。なお、Cが競売や公の市場、同種の物を販売する商人から善意で買い受けたときは、Aは代価を弁償しなければ回復を求められません(民法194条)が、記述の場面はこれに当たりません。
【まとめ】
誤っているのはアとイで、この組合せは (1) です。
【覚え方】
即時取得が認められない占有の取得:占有改定、相続(取引行為でない)。認められる:現実の引渡し、簡易の引渡し、指図による占有移転(判例)。
出典:2025年(令和7年度) 司法書士試験 午前の部 第9問(法務省 公表)出典元ページ
最終更新日
「午前の部(民法)」のほかの問題
- 2021年(令和3年度) 午前の部 第12問権利質に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは,後記
- 2022年(令和4年度) 午前の部 第5問代理に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1
- 2022年(令和4年度) 午前の部 第18問使用貸借に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5 ま
- 2023年(令和5年度) 午前の部 第11問民法上の担保物権に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5
- 2024年(令和6年度) 午前の部 第5問条件に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、
- 2024年(令和6年度) 午前の部 第18問贈与に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1
スポンサーリンク

