医薬品の吸収、代謝及び排泄に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。…
人体の働きと医薬品 第32問
医薬品の吸収、代謝及び排泄に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。ア 一般に、消化管からの吸収は、濃度の低い方から高い方へ能動的に拡散していく現象である。イ 坐剤は、有効成分が容易に循環血液中に入るため、内服の場合よりも全身作用が速やかに現れる。ウ 肝機能が低下した人では、医薬品を代謝する能力が高いため、正常な人に比べて全身循環に到達する有効成分の量がより多くなり、効き目が過剰に現れたり、副作用を生じやすくなったりする。エ 有効成分と血漿タンパク質との複合体は、腎臓で濾過されやすいため、速やかに尿中へ排泄される。
- (1)ア: 正 イ: 正 ウ: 正 エ: 正
- (2)ア: 正 イ: 正 ウ: 誤 エ: 正
- (3)ア: 正 イ: 誤 ウ: 正 エ: 誤
- (4)ア: 誤 イ: 正 ウ: 誤 エ: 誤
- (5)ア: 誤 イ: 誤 ウ: 正 エ: 正
正答 (4)
正答は (4)。正しいのは(イ)だけです。
【(ア)が誤り ―― 「高い方から低い方へ」「受動的に」】
一般に、消化管からの吸収は、医薬品の成分が濃度の高い方から低い方へ受動的に拡散していく現象です。設問は「低い方から高い方へ能動的に」としており、二重に逆になっています。
理解のしかた ……
水に垂らしたインクが自然に広がっていくのと同じ現象です。
消化管が積極的に取り込んでいるわけではありません。
この理解が効いてくる場面 ……
受動的な拡散だからこそ、同時に服用した食品や他の医薬品によって吸収量が変わる、消化管が荒れていれば吸収に差が出る、といったことが起こります。
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【(イ)正しい ―― 坐剤は速やかに現れる】
坐剤は、直腸内壁の粘膜から有効成分が吸収され、容易に循環血液中に入るため、内服の場合よりも全身作用が速やかに現れます。
理由 …… 直腸の粘膜下には静脈が豊富に分布しており、
そこから吸収された成分は肝臓を経由せずに循環血液中に入るためです。
これを肝初回通過効果を受けないといいます。
肝初回通過効果を受けるもの ……
内服薬(経口投与)。
消化管で吸収されて門脈から肝臓を通り、そこで代謝を受けてから全身に回ります。
受けにくいもの ……
坐剤、舌下錠、貼付剤、点鼻薬など。
【(ウ)が誤り ―― 肝機能が低下すると代謝能力は「低い」】
肝機能が低下した人では、医薬品を代謝する能力が低いため、正常な人に比べて全身循環に到達する有効成分の量がより多くなり、効き目が過剰に現れたり、副作用を生じやすくなったりします。
設問は「代謝する能力が高いため」としており、結論は正しいのに理由が逆になっています。
結論だけ見て正しいと判断しないよう、文全体を読んでください。
筋道 …… 肝臓は、医薬品を分解して効き目を弱める(あるいは体外へ出しやすくする)場所です。
その働きが落ちれば、分解されずに残る量が増えます。
効きすぎる、という結論になります。
【(エ)が誤り ―― 複合体は濾過されない】
有効成分と血漿タンパク質との複合体は、腎臓で濾過されないため、尿中に排泄されにくくなります。設問は正反対です。
仕組み ……
多くの有効成分は、血液中で血漿タンパク質
(アルブミン等)と結合して複合体を形成しています。
複合体は分子が大きいため、腎臓の糸球体で濾過されません。
(糸球体では、血球やタンパク質は濾過されない、という腎臓の基本と一致します)
結果として ……
複合体を形成していない、遊離した有効成分だけが濾過されるため、血中濃度がすぐには下がらず、作用が持続することになります。
その他の重要事項
複合体は、薬物代謝酵素の作用も受けません。
トランスポーターによって輸送されることもありません。
有効成分が体内から消失する過程では、肝臓での代謝と、腎臓からの排泄が重要な役割を果たします。
腎機能が低下した人では、有効成分の尿中への排泄が遅れ、血中濃度が下がりにくくなるため、効き目が強く現れたり、副作用を生じやすくなったりします。
出典:登録販売者試験 令和2年度(福岡県 公表問題)出典元ページ
最終更新日
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