サリドマイド及びサリドマイド訴訟に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。…

医薬品に共通する特性と基本的な知識 第17問

サリドマイド及びサリドマイド訴訟に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。a サリドマイド製剤は、使用した男性の精子形成能に異常を起こし、サリドマイド胎芽症が発生した。b サリドマイドには光学異性体があり、一方の異性体には鎮静作用、もう一方の異性体には血管新生を妨げる作用がある。c 日本では、西ドイツ(発生当時)企業から勧告や警告が発せられていたにもかかわらず、出荷・販売停止、回収措置などが遅れ、問題視された。d サリドマイド訴訟は、我が国では製薬企業のみが被告として提訴された。

正答 (3)
正答は (3)。(a)誤、(b)正、(c)正、(d)誤です。 【(a)が誤り ―― 原因は妊婦の服用と胎児への影響】 サリドマイド胎芽症は、妊娠している女性がサリドマイド製剤を使用したことにより、胎児に先天異常が生じたものです。「男性の精子形成能に異常を起こした」わけではありません。 仕組みは次のとおりです。サリドマイドには血管新生を妨げる作用があります。胎児は成長のために活発に血管を新生していますから、これが妨げられると器官が正常に形成されません。その結果、四肢欠損、耳の障害、心臓や消化管の奇形などが生じました。
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なお、サリドマイドは血液胎盤関門を通過して胎児に移行します。「関門があるから安全」ではない、という具体例です。 【(b)正しい ―― 光学異性体の話】 サリドマイドには光学異性体があり、一方の異性体には鎮静作用があり、もう一方の異性体には血管新生を妨げる作用があります。 ここで重要なのは、有害作用のない異性体だけを取り出して製剤化しても、催奇形性を避けることはできないという点です。理由は、体内で一方の異性体がもう一方の異性体に転換してしまうためです。この「転換してしまうから無意味」という部分までセットで問われます。 【(c)正しい ―― 日本では対応が遅れた】 西ドイツ(発生当時)企業から勧告や警告が発せられていたにもかかわらず、日本では出荷・販売停止、回収措置などが遅れ、問題視されました。 海外で警告が出た後も国内で販売が続けられたために、被害が拡大してしまったのです。この経験から、医薬品の副作用情報を国際的に共有し、迅速に対応する体制の必要性が認識されました。 【(d)が誤り ―― 国も被告になった】 サリドマイド訴訟は、我が国では製薬企業だけでなく、国も被告として提訴されました。1974年に和解が成立しています。 薬害訴訟における被告の整理をしておきます。  サリドマイド訴訟 …… 国と製薬企業  スモン訴訟 …… 国と製薬企業  HIV訴訟 …… 国と製薬企業  CJD訴訟 …… 国、輸入販売業者、製造業者 いずれも国が被告に含まれています。「製薬企業のみ」という記述が出てきたら誤り、と考えて差し支えありません。 【この事件から生まれた仕組み】 サリドマイド事件を契機として、世界保健機関(WHO)加盟国を中心に、各国が自国に必要な情報を収集・評価する体制の整備が図られました。また、サリドマイド訴訟、スモン訴訟を契機として、1979年に医薬品副作用被害救済制度が創設されています。

出典:登録販売者試験 令和2年度(関西広域連合 公表問題)出典元ページ

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