誘導加熱に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。…
機械 第12問
誘導加熱に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (1)産業用では金属の溶解や金属部品の熱処理などに用いられ,民生用では調理加熱に用いられている。
- (2)金属製の被加熱物を交番磁界内に置くことで発生するジュール熱によって被加熱物自体が発熱する。
- (3)被加熱物の透磁率が高いものほど加熱されやすい。
- (4)被加熱物に印加する交番磁界の周波数が高いほど,被加熱物の内部が加熱されやすい。
- (5)被加熱物として,銅,アルミよりも,鉄の方が加熱されやすい。
正答 (4)
正答は (4)。
【誤りの選択肢 (4)】
「交番磁界の周波数が高いほど、被加熱物の内部が加熱されやすい」が誤りです。向きが逆で、周波数が高いほど表面ばかりが加熱され、内部までは熱が届かなくなります。誘導加熱では、被加熱物に誘導された渦電流が表皮効果によって表面付近に集中します。電流が流れる深さの目安を表皮深さδ といい、
δ = (ρ ÷ (円周率 × f × μ)) の平方根
で表されます。ρ は抵抗率、f は周波数、μ は透磁率です。式のとおり、周波数f が大きいほどδ は小さくなり、電流は薄い表層だけを流れるようになります。この性質を利用して、歯車の表面だけを硬くする高周波焼入れには高い周波数を、金属を芯まで溶かす溶解炉には低い周波数を選びます。つまり周波数は、加熱したい深さに合わせて選ぶものです。
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【正しい選択肢の確認】
(1) 産業用では金属の溶解(誘導炉)や部品の熱処理(高周波焼入れ)に、
民生用では調理加熱(誘導加熱調理器)に使われています。正しい記述です。
(2) 交番磁界の中に金属を置くと、電磁誘導によって渦電流が生じ、
その渦電流が金属自身の抵抗を流れてジュール熱になります。外から熱を伝えるのではなく、被加熱物そのものが発熱する点が特徴で、熱効率が高く、加熱が速いという長所につながります。正しい記述です。
(3) 上の表皮深さの式で、透磁率μ が大きいほどδ が小さくなり、
電流が薄い層に集中して電流密度が高くなるので、発熱しやすくなります。また、強磁性体ではヒステリシス損も加わります。正しい記述です。
(5) 銅やアルミニウムは抵抗率が小さく、しかも磁性体ではないので、
表皮深さが大きく電流が広く分散し、抵抗も小さいため発熱しにくくなります。一方、鉄は抵抗率が銅の約6倍あり、強磁性体で透磁率も大きいので、渦電流が表面に集中して大きな熱を生みます。したがって鉄のほうが加熱されやすくなります。正しい記述です。誘導加熱調理器で使える鍋が限られるのは、この事情によります。
出典:令和5年度下期第三種電気主任技術者 機械科目 問12(一般財団法人 電気技術者試験センター 公表)出典元ページ
最終更新日
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