ジェットエンジンの空気取入ダクトへの着氷に関する説明で誤りはどれか。…

航空気象 第18問

ジェットエンジンの空気取入ダクトへの着氷に関する説明で誤りはどれか。

正答 (4)
正答は (4)。160ktという速度の基準が合いません。 【なぜ速度が上がると着氷しなくなるのか】 速く飛ぶほど、空気取入口に入る空気は圧縮されて昇温します(ラム上昇)。温度が0℃を十分に上回れば、着氷は起こらなくなります。 【160ktでは足りない理由】 ラム上昇の大きさは、おおよそ 上昇分 ≒ 絶対温度 × 0.2 × マッハ数の2乗 で決まります。160ktは低高度ではマッハ0.25程度ですから、 0.2 × 0.25² = 0.0125 288K × 0.0125 ≒ 3.6℃
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わずか数℃しか上がりません。これでは、氷点付近の湿った空気の中で着氷を止めるには足りません。 マッハ数の2乗に比例するため、実際に着氷が止まる速度は160ktよりかなり高い領域になります。「160kt以上で発生しなくなる」という記述は、この関係と合いません。 【(1)は正しい ―― 翼と同じしくみ】 過冷却水滴を含む雲の中を飛べば、吸気口の縁でも翼と同じように水滴が衝突して凍りつきます。 【(2)は正しい ―― 過冷却水滴がなくても着氷する】 大気温度が凍結点以上であっても、相対湿度が高ければ着氷することがあります。 これは(3)と同じ理由です。吸気系統の中で温度が下がるためで、外気が0℃以上でも内部は0℃以下になり得ます。 【(3)は正しい ―― 圧力低下による冷却】 地上滑走中や離陸中は、空気取入系統内の圧力が下がるため、取り入れた空気の温度も下がります。 圧力が下がる → 膨張する → 温度が下がる 断熱膨張による冷却です。0℃以下になれば、そこで水蒸気が凍りつきます。 【なぜ低速のほうが危ないのか】 低速 …… ラム上昇が小さい。吸気系統内で圧力が下がる       → 内部の温度が外気より低くなる 高速 …… ラム上昇が大きい       → 内部の温度が外気より高くなる 地上滑走中や離陸初期が最も危ない、という結論は、この温度の向きの違いから導けます。 【実務上の対応】 外気温が10℃以下で視程が悪い(湿度が高い)ときは、たとえ氷点以上でもエンジンの防氷装置を作動させます。 吸気口への着氷は、剥がれた氷片がファンに入り込む危険があり、エンジンそのものを損傷させかねません。

出典:令和5年3月期 航空従事者学科試験 運航管理者 航空気象 問18(国土交通省 公表)出典元ページ

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