細胞の放射線感受性に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。…
エックス線の生体に与える影響に関する知識 第31問
細胞の放射線感受性に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- (1)細胞周期の中で、S期(DNA合成期)初期は、S期後期より放射線感受性が高い。
- (2)細胞周期の中で、S期後期は、M期(分裂期)より放射線感受性が高い。
- (3)細胞周期の中で、G₁期(DNA合成準備期)初期は、G₂期(分裂準備期)後期より放射線感受性が高い。
- (4)細胞に放射線を照射したときの線量を横軸に、細胞の生存率を縦軸にとってグラフにすると、ほとんどの哺乳動物細胞では指数関数型となる。
- (5)小腸の絨毛先端部の細胞は、腺窩細胞(クリプト細胞)より放射線感受性が高い。
正答 (1)
正答は (1)。細胞周期の中で、S期(DNA合成期)初期は、S期後期より放射線感受性が高いとされています。
【細胞周期と感受性(高い順)】
M期(分裂期) いちばん高い
G2期後期 高い
G1期後期~S期初期 高い
G1期初期 低め
S期の後半 いちばん低い
【S期後期が最も低いわけ】
DNAを複製し終えた時期
同じ配列のDNAが二組そろっているので、片方が傷ついてももう片方を手本にして直せます(相同組換え修復)。手本があることが、強さの理由です。
解説の続きをみる続きを閉じる
一方、S期初期はまだ複製が始まったばかりで、手本がそろっていません。
【ほかの選択肢】
(2) S期後期は、M期より放射線感受性が低い
(3) G1期初期は、G2期後期より放射線感受性が低い
(4) ほとんどの哺乳動物細胞の生存率曲線は、肩のあるシグモイド型
(指数関数型ではない)
(5) 小腸の絨毛先端部の細胞は、腺窩細胞より放射線感受性が
低い
【M期が最も高いわけ】
染色体が凝縮して分かれていく時期
この最中に傷つけば、修復する余裕がありません。分裂の真っ最中に手を出されるのが、いちばん困るのです。
【(4)の生存率曲線】
肩のある曲線(シグモイド型)
低線量域では、傷を修復できるので生存率があまり下がりません。これが「肩」です。線量が増えると修復が追いつかなくなり、急に下がります。
指数関数型(まっすぐ下がる直線)になるのは、高LET放射線や、修復能力のない細胞の場合です。
【(5)の小腸】
腺窩(クリプト) 細胞を作り出す場所 → 感受性が高い
絨毛先端部 できあがった細胞 → 感受性が低い
作っている場所のほうが弱いのです。皮膚の基底細胞層と角質層の関係と同じです。
【ベルゴニー・トリボンドーの法則】
細胞分裂の頻度が高いほど感受性が高い
将来の分裂回数が多いほど感受性が高い
形態・機能が未分化なほど感受性が高い
出典:エックス線作業主任者 2023年上半期実施分(2023年10月掲載/公益財団法人 安全衛生技術試験協会 公表試験問題)出典元ページ
この問題と解説は当サイトの責任で掲載しています。内容について、安全衛生技術試験協会へのお問い合わせはできません。
最終更新日
この問題はほかの試験・回でも出ています
「エックス線の生体に与える影響に関する知識」のほかの問題
- 2025年上半期(2025年10月公表) 第32問次のAからCの人体の組織・器官について、放射線感受性の高いものから順に並べたものは(1)
- 2025年上半期(2025年10月公表) 第40問放射線による遺伝的影響等に関する次のAからDの記述について、正しいものの全ての組合せは(
- 2025年下半期(2026年4月公表) 第38問ヒトが一時に全身にエックス線の照射を受けた場合の早期影響に関する次の記述のうち、誤ってい
- 2023年下半期(2024年4月公表) 第36問放射線による身体的影響に関する次のAからDの記述について、正しいものの組合せは(1)~(
- 2024年上半期(2024年10月公表) 第34問放射線の被ばくによる確率的影響と確定的影響に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか
- 2024年下半期(2025年4月公表) 第32問放射線によるDNAの損傷と修復に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
スポンサーリンク

