放射線によるDNAの損傷と修復に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。…
エックス線の生体に与える影響に関する知識 第32問
放射線によるDNAの損傷と修復に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- (1)放射線によるDNA損傷には、塩基損傷とDNA鎖切断があるが、間接電離放射線では、塩基損傷は生じない。
- (2)DNA鎖切断のうち、二重らせんの片方だけが切れる1本鎖切断は、細胞死などの重篤な細胞障害に関連が深い。
- (3)細胞には、DNA鎖切断を修復する機能があり、修復が誤りなく行われれば、細胞は回復し、正常に増殖を続けるが、塩基損傷を修復する機能はない。
- (4)DNA鎖切断の修復方式のうち、非相同末端結合修復は、DNA切断端どうしを直接結合する方式である。
- (5)DNA鎖切断のうち、2本鎖切断はDNA鎖の組換え現象が利用されるため、1本鎖切断に比べて容易に修復される。
正答 (4)
正答は (4)。これが正しい記述です。
非相同末端結合修復は、DNAの切断端どうしを直接結合する方式です。
【二つの二本鎖切断の修復方式】
非相同末端結合修復
切れた端どうしをそのままつなぐ
→ 速いが、誤りが起こりやすい
相同組換え修復
もう一方の染色体(手本)を見ながら正しくつなぐ
→ 正確だが、手本が要る
非相同末端結合は、手本を使わないので「非相同」です。
【ほかの選択肢】
(1) 間接電離放射線でも、塩基損傷は生じる
(2) 細胞死などの重篤な障害に関連が深いのは、二本鎖切断。
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一本鎖切断ではない
(3) 塩基損傷を修復する機能もある
(5) 二本鎖切断は、一本鎖切断に比べて修復が難しい
【一本鎖切断と二本鎖切断】
一本鎖切断 片方の鎖だけが切れる
→ もう一方が手本になる → 修復しやすい
二本鎖切断 両方の鎖が切れる
→ 手本がない → 修復が難しい
→ 細胞死や突然変異につながる
(2)と(5)は、この関係を逆に述べています。はしごの片側だけ
切れたのと、両側が切れたのとでは、重大さがまるで違うのです。
【(5)の記述の矛盾】
「組換え現象が利用されるため、容易に修復される」
組換えを使うのは、それだけ手間がかかるということです。簡単につなげるなら、組換えなど要りません。理由と結論が噛み合っていません。
【塩基損傷】
鎖は切れていないが、塩基そのものが傷む
これも修復のしくみがあります(塩基除去修復など)。細胞には、損傷の種類に応じた修復の道具がそろっています。
【間接電離放射線でも塩基損傷が起こるわけ】
エックス線は、二次電子を介して作用する
直接か間接かは、電離の仕方の違いであって、どんな傷ができるかとは別の話です。どちらの経路でも、塩基損傷も鎖切断も生じます。
【修復と細胞の運命】
誤りなく修復される → 正常に増殖を続ける
誤って修復される → 突然変異
修復されない → 細胞死
出典:エックス線作業主任者 2024年下半期実施分(2025年4月掲載/公益財団法人 安全衛生技術試験協会 公表試験問題)出典元ページ
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