ヒトが一時に全身にエックス線の照射を受けた場合の早期影響に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。…
エックス線の生体に与える影響に関する知識 第34問
ヒトが一時に全身にエックス線の照射を受けた場合の早期影響に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- (1)1~2Gy程度の被ばくで、放射線宿酔の症状が現れることがある。
- (2)被ばくから死亡までの期間は、一般に造血器官の障害による場合の方が、消化器官の障害による場合より長い。
- (3)3~5Gy程度の被ばくによる死亡は、主に造血器官の障害によるものである。
- (4)消化器官の障害を主因とする死亡までの期間は、5~20日程度である。
- (5)5~10Gy程度の被ばくによる死亡は、主に中枢神経系の障害によるものである。
正答 (5)
正答は (5)。これが誤りです。
5~10Gy程度の被ばくによる死亡は、主に造血器官(骨髄)の障害によるものです。中枢神経系の障害が主因になるのは、20Gy以上の被ばくです。
【急性放射線症候群の三つの型】
1~10Gy 造血器(骨髄)の障害
白血球・血小板の減少、感染、出血
死亡までの期間 30~60日程度
10~20Gy 消化管の障害
下痢、脱水、腸粘膜の脱落
死亡までの期間 5~20日程度
20Gy以上 中枢神経系の障害
けいれん、昏睡。数時間~数日で死亡
解説の続きをみる続きを閉じる
弱いところから順にやられていきます。骨髄がいちばん弱く、次が消化管、いちばん強いのが神経系です。
【(3)との読み比べ】
(3) 3~5Gy程度の被ばくによる死亡は、主に造血器官の
障害による → 正しい
5~10Gyは、そのすぐ上の範囲です。急に中枢神経系まで飛ぶことはありません。隣り合う選択肢が手がかりになります。
【ほかの選択肢】
(1) 1~2Gy程度の被ばくで、放射線宿酔の症状が現れる
ことがある 正しい
(2) 被ばくから死亡までの期間は、一般に造血器官の障害による
場合のほうが、消化器官の障害による場合より長い
正しい
(3) 3~5Gy程度の被ばくによる死亡は、主に造血器官の
障害によるもの 正しい
(4) 消化器官の障害を主因とする死亡までの期間は、5~20日
程度 正しい
【期間が長いのが造血器官なわけ】
血球には寿命がある
被ばくで骨髄の幹細胞がやられても、すでにある血球はしばらく持ちこたえます。それらが尽きたときに症状が出るので、30~60日かかります。
消化管は、数日で入れ替わる組織です。腺窩細胞がやられると、すぐに絨毛が崩れます。入れ替わりが速いほど、早く症状が出るのです。
【半致死線量】
LD₅₀/₆₀ = 約4Gy
60日以内に半数が死亡する線量です。まさに造血器官の領域にあたります。
【放射線宿酔】
全身被ばくの後、吐き気、嘔吐、食欲不振、倦怠感が出る
1Gy程度から現れる、急性障害の前ぶれです。
出典:エックス線作業主任者 2025年上半期実施分(2025年10月掲載/公益財団法人 安全衛生技術試験協会 公表試験問題)出典元ページ
この問題と解説は当サイトの責任で掲載しています。内容について、安全衛生技術試験協会へのお問い合わせはできません。
最終更新日
この問題はほかの試験・回でも出ています
「エックス線の生体に与える影響に関する知識」のほかの問題
- 2024年下半期(2025年4月公表) 第34問生体に対する放射線効果に関する次のAからDの記述について、正しいものの組合せは(1)~(
- 2025年下半期(2026年4月公表) 第32問次のAからCの人体の組織・器官について、放射線感受性の高いものから順に並べたものは(1)
- 2025年下半期(2026年4月公表) 第40問放射線の被ばくによる確率的影響及び確定的影響に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 2023年上半期(2023年10月公表) 第38問生体に対する放射線効果に関する次のAからDの記述について、正しいものの組合せは(1)~(
- 2023年下半期(2024年4月公表) 第36問放射線による身体的影響に関する次のAからDの記述について、正しいものの組合せは(1)~(
- 2024年上半期(2024年10月公表) 第34問放射線の被ばくによる確率的影響と確定的影響に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか
スポンサーリンク

