変圧器に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。…
機械 第9問
変圧器に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (1)無負荷の変圧器の一次巻線に正弦波交流電圧を加えると,鉄心には磁気飽和現象やヒステリシス現象が生じるので電流は非正弦波電流となる。この電流を励磁電流といい,第3 次をはじめとする多くの次数の高調波を含む。
- (2)変圧器の励磁電流のうち,一次電圧と同相成分を鉄損電流,π/2 [rad]遅れた成分を磁化電流という。
- (3)変圧器の鉄損には主にヒステリシス損と渦電流損がある。電源の周波数をf ,鉄心に用いる電磁鋼板の厚さをt とすると,ヒステリシス損はf に比例し,渦電流損は(f×t)の2 乗に比例する。ただし,鉄心の磁束密度を同一とする。
- (4)変圧器の損失には主に鉄損と銅損があり,両者が等しくなったときに最大効率となる。無負荷損の主なものは鉄損で,電圧と周波数が一定であれば負荷に関係なく一定である。また,負荷損の主なものは銅損で,負荷電流の2 乗に比例する。
- (5)変圧器の等価回路において,励磁回路は励磁コンダクタンスと励磁サセプタンスで構成される。両者を合わせて励磁アドミタンスという。励磁コンダクタンスに流れる電流は磁化電流に対応し,励磁サセプタンスで発生する損失は鉄損に対応している。
正答 (5)
正答は (5)。
【誤りの選択肢 (5)】
励磁回路の各成分と電流の対応が入れ替わっています。正しい対応は次のとおりです。
励磁コンダクタンス → 流れる電流は鉄損電流 → ここで鉄損が発生する
励磁サセプタンス → 流れる電流は磁化電流 → ここでは損失は生じない
コンダクタンスは抵抗の逆数にあたる量で、電圧と同相の電流を流し、電力を消費します。その消費分が鉄損です。サセプタンスはリアクタンスの逆数にあたる量で、電圧より90度遅れた電流を流しますが、電力は消費しません。その電流が鉄心に磁束を作る磁化電流です。選択肢は「励磁コンダクタンスに流れる電流は磁化電流」「励磁サセプタンスで発生する損失は鉄損」としており、二つとも逆になっています。
解説の続きをみる続きを閉じる
【正しい選択肢の確認】
(1) 鉄心には磁気飽和とヒステリシスがあるため、
磁束を正弦波にしようとすると励磁電流はひずんだ波形になります。このひずみは正負対称なので偶数次は現れず、第3次をはじめとする奇数次の高調波を多く含みます。正しい記述です。
(2) 励磁電流を、一次電圧と同相の成分と90度遅れた成分に分けると、
前者が鉄損電流、後者が磁化電流です。同相成分は電力を運ぶので損失に対応し、90度遅れた成分(π/2 [rad] 遅れた成分)は磁束を作る役に回ります。正しい記述です。
(3) 磁束密度を同一とすると、ヒステリシス損は周波数f に比例し、
渦電流損は周波数f と板厚t の積の2乗に比例します。
ヒステリシス損 ∝ f
渦電流損 ∝ (f × t) の2乗
鉄心を薄い板に分けて積層するのは、t を小さくして渦電流損を2乗で減らすためです。正しい記述です。
(4) 効率が最大になるのは、負荷によって変わる銅損が
一定である鉄損と等しくなったときです。鉄損は電圧と周波数が一定なら負荷によらず一定、銅損は負荷電流の2乗に比例します。正しい記述です。
出典:令和4年度下期第三種電気主任技術者 機械科目 問9(一般財団法人 電気技術者試験センター 公表)出典元ページ
最終更新日
「機械」のほかの問題
- 令和5年度下期 第2問界磁に永久磁石を用いた小形直流電動機がある。この電動機の電機子に12 V の電圧を加えた
- 令和6年度上期 第2問電機子回路の抵抗が0.20 Ωの直流他励電動機がある。励磁電流,電機子電流とも一定になる
- 令和7年度上期 第2問界磁に永久磁石を用いた小形直流電動機があり,電源電圧は定格の12 V,回転を始める前の静
- 令和7年度下期 第4問あるかご形三相誘導電動機を定格電圧でY-Δ始動したところ,始動トルクは49.0 N・m
- 令和8年度上期 第12問リチウムイオン二次電池と比較した電気二重層キャパシタの特徴に関する記述として,誤っている
- 令和4年度上期 第14問次の文章は,電子機械の構成と基礎技術に関する記述である。ディジタルカメラや自動洗濯機など
スポンサーリンク

