肺の破裂及びその合併症に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。…
高気圧障害 第28問
肺の破裂及びその合併症に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- (1)減圧のとき息を止めていると、肺は弾性の限界を超えて過膨張状態となり、ついには肺胞が破れてしまう。
- (2)肺胞の破れにより肺の毛細血管に侵入した空気が気泡状になり、血流によって全身に運ばれ、塞栓となって末梢血管を閉塞して生じる疾患を動脈ガス塞栓症という。
- (3)破れた肺胞が胸膜腔と通じると、肺は縮んでしまい換気できなくなる。
- (4)0.1MPa(ゲージ圧力)程度の比較的低い圧力からの減圧では、肺の過膨張の危険性は低い。
- (5)肺胞から漏れた空気が胸部中央の縦隔洞や頚部にまで入り込み、縦隔気腫や皮下気腫となることがある。
正答 (4)
正答は (4)。これが誤りです。
0.1MPa(ゲージ圧力)程度の比較的低い圧力からの減圧でも、肺の過膨張の危険はあります。「危険性は低い」は誤りです。
【なぜ低い圧力でも危ないのか】
肺胞が破れるのに必要な圧力差は、ごくわずか
水深にしてわずか数m、圧力差にして0.03MPa程度でも、息を止めたまま浮上すれば肺胞は破れます。
【体積が何倍になるか】
0.1MPa(ゲージ) = 絶対0.2MPa
→ 大気圧まで戻ると、体積は2倍
肺が2倍に膨らめば、耐えられません。
【むしろ浅いほうが膨張率は大きい】
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0.1→0.0MPa(ゲージ) 絶対0.2→0.1 2倍
0.4→0.3MPa(ゲージ) 絶対0.5→0.4 1.25倍
同じ0.1MPaの減圧でも、浅いところのほうが体積変化の割合が大きいのです。「低い圧力だから安全」という考えは、事実と逆です。
【0.1MPaと減圧症】
減圧症は、0.1MPa以下ではほとんど発生しない
→ しかし肺の過膨張は別
この数字は減圧症の目安であって、肺の破裂には当てはまりません。二つを混同させるのが、この設問の仕掛けです。
【ほかの選択肢】
(1) 減圧のとき息を止めていると、肺は弾性の限界を超えて過膨張となり、肺胞が破れる 正しい
(2) 毛細血管に侵入した空気が気泡状になり、血流によって全身に運ばれ、塞栓となって末梢血管を閉塞して生じる疾患を動脈ガス塞栓症という 正しい
(3) 破れた肺胞が胸膜腔と通じると、肺は縮んでしまい換気できなくなる 正しい
(5) 漏れた空気が胸部中央の縦隔洞や頚部にまで入り込み、縦隔気腫や皮下気腫となることがある 正しい
【肺が縮むわけ】
肺は、胸膜腔が陰圧に保たれているおかげで広がっている
胸膜腔に空気が入れば、肺はみずからの弾力で縮みます。
【動脈ガス塞栓症】
空気塞栓症、エア・エンボリズムとも呼ばれる
肺の破裂から直接入った空気が原因です。
【防ぎ方】
減圧中は、息を止めない
出典:高圧室内作業主任者 2023年上半期実施分(2023年10月掲載/公益財団法人 安全衛生技術試験協会 公表試験問題)出典元ページ
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最終更新日
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