火山灰がジェットエンジンへ及ぼす影響に関する説明で正しいものはどれか。…

航空気象 第15問

火山灰がジェットエンジンへ及ぼす影響に関する説明で正しいものはどれか。

正答 (4)
正答は (4)。冷えて剥がれることで再始動できる場合があります。 【(4)が正しい ―― なぜ剥がれるのか】 エンジン内部で溶けた火山灰は、温度の低いタービン翼などに付着してガラス状に固まります。 エンジンが停止する  ↓ 内部が急速に冷える  ↓ 固まったガラス質と金属の収縮のしかたが違う  ↓ 付着した層にひびが入って剥がれ落ちる そのうえで再始動を繰り返すと、剥がれた破片が吹き飛ばされ、空気の流れが回復して始動できることがあります。 実際に、全エンジンが停止したあと降下中に再始動に成功した事例が報告されています。
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【(3)が誤り ―― 推力は絞る】 火山灰雲に入ってしまった場合、推力を絞るのが基本です。「巡航推力を保つ」のではありません。 推力を上げる → 燃焼室とタービンの温度が上がる  → 火山灰が溶けやすくなる  → タービン翼への付着が進む 灰の融点は、運航推力時のエンジン内部の温度より低いためです。温度を下げれば溶融を抑えられます。 推力を絞る(アイドルに近づける) ただちに離脱する(180度旋回が基本) この二つが遭遇時の基本動作です。 【(1)が誤り ―― 融点は燃焼室温度より低い】 ガラス化した珪酸塩など、火山灰を構成する物質の融点はおおむね1,100℃前後です。 一方、運航推力時のジェットエンジンの燃焼室の温度はこれを大きく上回ります。 灰の融点 < 燃焼室の温度  → 灰は溶ける 溶けなければ、そのまま吹き抜けて大きな問題にはなりません。溶けるからこそ危険なのです。 (3)で推力を絞るべき理由も、ここから導けます。 【(2)が誤り ―― 順序が逆】 正しい順序は、 火山灰がエンジンに吸い込まれる  ↓ 高温部で溶ける(ガラス状になる)  ↓ 温度の低いタービン翼などに付着する  ↓ そこで冷えて固まる  ↓ 冷却孔を塞ぎ、空気の流れを乱す  ↓ 推力低下・フレームアウト 設問は「高温の火山灰が吸い込まれ、冷却されて固着する」としており、エンジン内で溶けるという肝心の段階が抜けています。灰そのものが最初から高温なわけではありません。 【火山灰雲に遭遇したら】 推力を絞る ただちに離脱する(来た方向へ引き返す) 防氷装置を作動させる 与圧・空調系統を確認する 酸素マスクを準備する 火山灰雲は気象レーダーに映りません。水滴ではないためです。夜間や雲中では目視もできません。 【予防が唯一の確実な対策】 航空路火山灰情報(VAA)を確認する SIGMETを確認する 予報された拡散域を大きく迂回する 遭遇してからできることは限られています。運航管理の段階で経路を組み替えることが、最も確実な対策です。 【(4)を過信しないこと】 再始動できた事例があるとはいえ、確実に回復する保証はありません。(4)は「そういうことが起こり得る」という現象の説明であって、遭遇してよい理由にはならないという点を押さえてください。

出典:令和4年7月期 航空従事者学科試験 運航管理者 航空気象 問15(国土交通省 公表)出典元ページ

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