Aは、BにCから贈与を受けた動産甲を売却する旨の契約(以下「本件契約」という。)をBと締結したが、引渡し期日が過ぎても動…
民法 問題30
Aは、BにCから贈与を受けた動産甲を売却する旨の契約(以下「本件契約」という。)をBと締結したが、引渡し期日が過ぎても動産甲の引渡しは行われていない。この場合についての次の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。
- (1)本件契約に「Cが亡くなった後に引き渡す」旨が定められていた場合、Cの死亡後にBから履行請求があったとしても、Aが実際にCの死亡を知るまではAの履行遅滞の責任は生じない。
- (2)動産甲が、契約締結前に生じた自然災害により滅失していたために引渡しが不能である場合、本件契約は、その成立の時に不能であるから、Aは、Bに履行の不能によって生じた損害を賠償する責任を負わない。
- (3)動産甲の引渡しについて、Aが履行補助者であるDを用いた場合、Dの過失により甲が滅失し引渡しができないときには、Aに当然に債務不履行責任が認められる。
- (4)動産甲が本件契約締結後引渡しまでの間にA・B双方の責めに帰すことができない事由によって滅失したときは、Aの引渡し債務は不能により消滅するが、Bの代金債務は消滅しないから、Bは、Aからの代金支払請求に応じなければならない。
- (5)Aが本件契約に基づき動産甲をBのもとに持参して引き渡そうとしたが、Bがその受領を拒んだ場合、その後にA・B双方の責めに帰すことができない事由によって甲が滅失したときは、Bは、本件契約の解除をすることも、Aからの代金支払請求を拒絶することもできない。
正答 (5)
正答は (5)。これが正しいです。
債権者が受領を拒んだ後に、当事者双方の責めに帰することができない事由によって履行が不能になったときは、その履行不能は債権者の責めに帰すべき事由によるものとみなされます(民法413条の2第2項)。債権者の責めに帰すべき事由による不履行では、債権者は契約を解除できず(543条)、反対給付の履行を拒むこともできません(536条2項)。売買については567条2項・1項も同じ結論を定めています。
【ほかの選択肢】
(1) 誤り
「Cが亡くなった後に引き渡す」は不確定期限です。債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、期限の到来した後に履行の請求を受けた時又は期限の到来を知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負います(412条2項)。Bから履行請求を受けた時から遅滞となり、Cの死亡を知るまで責任を負わないわけではありません。
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(2) 誤り
契約に基づく債務の履行がその契約の成立の時に不能であったことは、415条によりその履行の不能によって生じた損害の賠償を請求することを妨げません(412条の2第2項)。原始的不能であることだけを理由に賠償責任を否定することはできません(責任の有無は、債務者の責めに帰することができない事由によるかどうか(415条1項ただし書)で判断されます)。
(3) 誤り
2017年改正後の民法では、債務者の責めに帰することができない事由かどうかは、契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして判断されます(415条1項ただし書)。履行補助者の過失があれば当然に債務不履行責任が認められる、という規定はありません。
(4) 誤り
当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができます(536条1項)。Bは代金の支払を拒めます。また、Bは履行不能を理由に契約を解除することもできます(542条1項1号)。
出典:令和4年度 行政書士試験 問題30(一般財団法人行政書士試験研究センター公表)出典元ページ
この試験問題は、一般財団法人行政書士試験研究センターの許諾を得て掲載しています。無断での転載・複製を禁じます。解説は過去問NAVIが独自に作成したもので、同センターの見解ではありません。
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