無効および取消しに関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。…
民法 問題28
無効および取消しに関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- (1)贈与契約が無効であるにもかかわらず、既に贈与者の履行が完了している場合、受贈者は受け取った目的物を贈与者に返還しなければならず、それが滅失して返還できないときは、贈与契約が無効であることを知らなかったとしても、その目的物の現存利益の返還では足りない。
- (2)売買契約が無効であるにもかかわらず、既に当事者双方の債務の履行が完了している場合、売主は受け取った金銭を善意で費消していたとしても、その全額を返還しなければならない。
- (3)秘密証書遺言は、法が定める方式に欠けるものであるときは無効であるが、それが自筆証書による遺言の方式を具備しているときは、自筆証書遺言としてその効力を有する。
- (4)未成年者が親権者の同意を得ずに締結した契約について、未成年者本人が、制限行為能力を理由としてこれを取り消す場合、親権者の同意を得る必要はない。
- (5)取り消すことができる契約につき、取消権を有する当事者が、追認をすることができる時以後に、異議をとどめずにその履行を請求した場合、これにより同人は取消権を失う。
正答 (1)
正答は (1)。これが誤りです。
無効な無償行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、給付を受けた当時その行為が無効であることを知らなかったときは、その行為によって現に利益を受けている限度において返還の義務を負います(民法121条の2第2項)。贈与契約は無償行為なので、無効であることを知らなかった受贈者は、目的物が滅失していれば現存利益の返還で足ります。
【ほかの選択肢】
(2) 正しい
無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負います(121条の2第1項)。有償契約である売買では、善意であっても現存利益に限定されず、受け取った代金の全額を返還しなければなりません。
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(3) 正しい
秘密証書による遺言は、971条の方式に欠けるものがあっても、968条の自筆証書遺言の方式を具備しているときは、自筆証書による遺言としてその効力を有します(971条)。
(4) 正しい
行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者本人も取り消すことができます(120条1項)。取消しに法定代理人の同意は必要ありません。
(5) 正しい
追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について異議をとどめずに履行の請求をしたときは、追認をしたものとみなされます(125条2号、法定追認)。これにより取消権を失います。
【覚え方】
原状回復の範囲は、有償契約なら原則として全部、無償行為で善意なら現存利益、行為の時に意思能力がなかった者・制限行為能力者なら現存利益(121条の2第3項)です。
出典:令和6年度 行政書士試験 問題28(一般財団法人行政書士試験研究センター公表)出典元ページ
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