選挙制度の形成に関する国会の裁量についての次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らし、妥当でないものはどれか。…
憲法 問題6
選挙制度の形成に関する国会の裁量についての次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らし、妥当でないものはどれか。
- (1)都道府県が歴史的にも政治的、経済的、社会的にも独自の意義と実体を有する単位である以上、参議院の選挙区選出議員に都道府県代表的な意義を付与し、その枠内で投票価値の平等の実現を図ることは、憲法上許容される。
- (2)小選挙区制は、死票を多く生む可能性があることは否定し難いが、死票はいかなる制度でも生ずるものであり、結局のところ選挙を通じて国民の総意を議席に反映させる一つの合理的方法ということができる。
- (3)同時に行われる二つの選挙に同一の候補者が重複して立候補することを認めるか否かは、国会が裁量により決定することができる事項であり、衆議院議員選挙で小選挙区選挙と比例代表選挙との重複立候補を認める制度は憲法に違反しない。
- (4)政党を媒体として国民の政治意思を国政に反映させる名簿式比例代表制を採用することは国会の裁量に属し、名簿登載者個人には投票したいがその属する政党には投票したくないという意思を認めない非拘束名簿式比例代表制もまた同様である。
- (5)参議院の比例代表選出議員について、政党が優先的に当選者となるべき候補者を定めることができる特定枠制度は、選挙人の総意によって当選人が決定される点で、選挙人が候補者個人を直接選択して投票する方式と異ならず、憲法に違反しない。
正答 (1)
正答は (1)。これが妥当でありません。
参議院の選挙区選挙について、かつての判例(最大判昭和58年4月27日)は、都道府県代表的な意義・機能を考慮することを国会の裁量として認めていました。しかし、最高裁大法廷判決(平成24年10月17日)は、都道府県を選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はなく、都道府県を単位として固定する結果、投票価値の大きな不平等状態が長期にわたって続いている状況では、その仕組み自体を見直すことが必要であるとしました。都道府県代表的な意義を付与し、その枠内で投票価値の平等を図ることが憲法上許容されるとする記述は、現在の判例の趣旨に合いません。
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【ほかの選択肢】
(2) 妥当
判例(最大判平成11年11月10日)は、小選挙区制は死票を多く生む可能性があるが、死票はいかなる制度でも生ずるものであり、特定の政党のみを優遇する制度ともいえず、選挙を通じて国民の総意を議席に反映させる一つの合理的方法といえるとしました。
(3) 妥当
同じ時期の判例は、衆議院の小選挙区選挙と比例代表選挙の重複立候補を認めるかどうかは国会の裁量により決定できる事項であり、重複立候補制は憲法に違反しないとしています。
(4) 妥当
判例(最大判平成16年1月14日)は、名簿式比例代表制を採用することは国会の裁量に属し、参議院の非拘束名簿式比例代表制において、名簿登載者個人には投票したいがその所属政党には投票したくないという意思を認めないことも、国会の裁量の範囲内であるとしました。
(5) 妥当
最高裁判所の判例は、参議院比例代表選挙の特定枠制度について、選挙人の総意により当選人が決定される点で、選挙人が候補者個人を直接選択して投票する方式と異なるところはなく、憲法43条1項などに違反しないとしました。
出典:令和6年度 行政書士試験 問題6(一般財団法人行政書士試験研究センター公表)出典元ページ
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