インフルエンザウイルス感染症まん延防止のため、政府の行政指導により集団的な予防接種が実施されたところ、それに伴う重篤な副…

憲法 問題3

インフルエンザウイルス感染症まん延防止のため、政府の行政指導により集団的な予防接種が実施されたところ、それに伴う重篤な副反応により死亡したXの遺族が、国を相手取り損害賠償もしくは損失補償を請求する訴訟を提起した(予防接種と副反応の因果関係は確認済み)場合に、これまで裁判例や学説において主張された憲法解釈論の例として、妥当でないものはどれか。

正答 (4)
正答は (4)。これが妥当でありません。 予防接種の副反応による被害(予防接種禍)の救済は、国家賠償(違法・過失が必要)と損失補償(適法な行為による特別の犠牲)の「谷間」の問題として議論されてきました。その中で、裁判例は過失の認定を工夫して国家賠償を認める方向に進みました。たとえば最高裁平成3年4月19日判決(小樽予防接種事件)は、予防接種で重篤な後遺障害が生じた場合には、禁忌者を識別するための十分な予診が尽くされたなどの特段の事情がない限り、被接種者は禁忌者に該当していたと推定するとし、過失の判断の道を開きました。その後の東京高裁平成4年12月18日判決も、厚生大臣の過失(禁忌者を除外する体制づくりの不十分さ)を認めています。「過失の認定は原理的に不可能で、損害賠償の余地はない」という主張は、こうした流れに反し、主張された解釈論の例として妥当でありません。
解説の続きをみる続きを閉じる
【ほかの選択肢】 (1) 生命・身体の特別の犠牲を財産権の特別の犠牲より不利に扱う理由はないとして、憲法29条3項を類推適用して損失補償を認める考え方は、下級審の裁判例(東京地裁昭和59年5月18日判決など)で採られました 妥当 (2) 違法でも無過失なら国家賠償は認められず、適法な行為ではないので損失補償にもなじまない、という「谷間」の問題として、立法による解決が必要だとする主張があります 妥当 (3) 生命・身体の特別の犠牲について、憲法13条(人格的自律権)などを根拠に補償を請求できるとする学説があります 妥当 (5) 財産権の侵害に補償があるなら、より重要な生命・身体の侵害にも補償があってしかるべきだとする考え方(いわゆる勿論解釈)も、裁判例や学説で主張されました 妥当

出典:令和3年度 行政書士試験 問題3(一般財団法人行政書士試験研究センター公表)出典元ページ

この試験問題は、一般財団法人行政書士試験研究センターの許諾を得て掲載しています。無断での転載・複製を禁じます。解説は過去問NAVIが独自に作成したもので、同センターの見解ではありません。

最終更新日

この回を通しで解く この分野を年度横断で解く

「憲法」のほかの問題

  1. 2020年(令和2年度) 問題4表現の自由の規制に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
  2. 2022年(令和4年度) 問題3表現の自由に関する次の判断基準が想定している事例として、妥当なものはどれか。
  3. 2022年(令和4年度) 問題6内閣の権限に関する次の記述のうち、憲法の規定に照らし、妥当なものはどれか。
  4. 2023年(令和5年度) 問題4国務請求権に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
  5. 2024年(令和6年度) 問題3人格権と夫婦同氏制に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らし、妥当でないもの
  6. 2024年(令和6年度) 問題6選挙制度の形成に関する国会の裁量についての次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らし

問題文・解答の修正依頼

スポンサーリンク