均質な材料でできた固体の物体(以下、本問において「物体」という。)及びその荷の重心に関する記述として、適切でないものは次…
移動式クレーンの運転のために必要な力学に関する知識 第34問
均質な材料でできた固体の物体(以下、本問において「物体」という。)及びその荷の重心に関する記述として、適切でないものは次のうちどれか。
- (1)長尺の荷を移動式クレーンでつり上げるため、目安で重心位置を定めてその真上にフックを置き、玉掛けを行い、地切り直前まで少しだけつり上げたとき、荷が傾いた場合は、荷の実際の重心位置は目安とした重心位置よりも傾斜した荷の低い方の側にある。
- (2)物体全体に作用する重力は、物体を細かく分けたときに各部分に作用する重力の和であるが、物体の各部分に作用する重力の合力は一点に集中して作用すると考えられ、この点(合力の作用点)を重心という。
- (3)直方体の物体の置き方を変える場合、重心の位置が高くなるほど安定性は悪くなる。
- (4)水平面上に置いた直方体の物体を傾けた場合、重心からの鉛直線がその物体の底面を外れるときは、その物体は元の位置に戻る。
- (5)重心は、物体の形状によっては必ずしも物体の内部にあるとは限らない。
正答 (4)
正答は (4)。これが誤りです。
重心からの鉛直線が底面を外れたときは、元の位置に戻らず、そのまま倒れます。
傾けた物体には、重心にかかる重力がはたらいています。この重力が底面の内側を向いていれば、物体を元へ押し戻す向きに回転させます。しかし鉛直線が底面の外に出てしまうと、同じ重力が今度は倒す向きに回転させることになります。戻る力が働かないので、そのまま倒れます。
机の上で本を少しずつ傾けていくと、ある角度までは手を離せば戻り、そこを越えると一気に倒れます。その境目が、重心の真下が底面の縁に一致する点です。
解説の続きをみる続きを閉じる
(1)(2)(3)(5)はいずれも正しい記述です。
(1) 目安の重心でつって荷が傾いたなら、本当の重心は下がった側にあります。重い側が下がるからです。玉掛けの位置を直すときは、下がった方へフックを寄せます
(5) ドーナツ形やコの字形の物体では、重心は物体のない空間にあります
重心の要点
定義 物体の各部分にはたらく重力の合力の作用点。
物体の中に必ずあるとは限らず、ドーナツ形やコの字形では空間の中にある
個数 どんな形でも重心はただ一つ。「二つ以上になる」ことはない
位置は動かない
置き方を変えても、物体に対する重心の位置は変わらない。
外部にある重心が内部に移ってくることはない
安定性 重心が低いほど安定する。高いほど不安定になる
倒れるか戻るか
重心を通る鉛直線が底面の中を通る → 元に戻る
底面から外れる → そのまま倒れる
代表的な位置
円柱 … 上下の底面の中心を結ぶ線分の中点
円錐体 … 底面の中心と頂点を結ぶ線分上で、底面から高さの1/4
三角形 … 各中線の交点(底辺から高さの1/3)
玉掛けでの応用
目安でつけた重心の真上でつって荷が傾いたら、本当の重心は「下がった側」にあります。
重い側が下がるのですから、当たり前といえば当たり前です。
「高い方の側にある」と書いてあれば誤りです
出典:力学の基礎(重心と安定性)
出典:移動式クレーン運転士 2023年上半期実施分(2023年10月掲載/公益財団法人 安全衛生技術試験協会 公表試験問題)出典元ページ
この問題と解説は当サイトの責任で掲載しています。内容について、安全衛生技術試験協会へのお問い合わせはできません。
最終更新日
「移動式クレーンの運転のために必要な力学に関する知識」のほかの問題
- 2025年上半期(2025年10月公表) 第34問均質な材料でできた固体の物体(以下、本問において「物体」という。)の重心に関する記述とし
- 2025年下半期(2026年4月公表) 第33問物体の質量及び比重に関する記述として、適切でないものは次のうちどれか。
- 2023年下半期(2024年4月公表) 第32問図のように三つの重りをワイヤロープによりつるした天びん棒が支点Oでつり合っているとき、B
- 2023年下半期(2024年4月公表) 第40問図のような組合せ滑車を用いて質量300㎏の荷をつるとき、これを支えるために必要な力Fの値
- 2024年上半期(2024年10月公表) 第38問下記に掲げるAからCまでの図のとおり、同一形状で質量が異なる三つの荷を、それぞれ同じ長さ
- 2024年下半期(2025年4月公表) 第36問物体に働く摩擦力に関する記述として、適切でないものは次のうちどれか。
スポンサーリンク

